第3話
絶叫系の乗り物を充分に楽しんだあと、少し遅めの休息と言うことで、僕と水無月さんはオープンテラスの飲食店へと来ていた。
矢追さん達は僕が水無月さんに引っ張り回されて、ぶっ続けで乗っている間に昼食などを済ませたみたいだった。
そう言う訳で、僕はアイスフロート、水無月さんはパフェを頼み、腰を落ち着かせた。
昼食抜きでお腹は減っていたが、昼食を食べる程の気力は絶叫マシンで吸い取られ、軽いデザートなどを頼む他なかった。
「……ねぇ」
「はい。なんでしょうか」
「……やっぱなんでもない」
「?そうですか」
なんだか水無月さんらしくないと思ったけれど、本人が言いたくないのならそれでいいだろう。言いたい時に言う。それが一番。
「それにしても、すごいですね。ここ、そんなに有名ではないのですが……結構人が来てます」
「あんた、結構ひどいこと言うのね。ここ、貫司の紹介でしょうが」
「いえ。ここはまだ発展途上なので、一応一目置いているのですが……ふむ。もうすこし宣伝が必要なようです」
このような極一般的な経営をしている所は、安泰してるだけでいい方なのだ。むしろ経営が安泰しているのが不思議なくらい。
だからこそここを──
「貫司ってば」
「はい?」
少し考え事していてボーッとしていたみたいだ。
水無月さんはブスッとして僕を見ている。
「はい?じゃないでしょが!人の話をちゃんと聴けっ」
「すみません。少し考え事をしていまして。それで、なんでしょうか?」
「次は何に乗りたいかって話よ」
「ふむ、次ですか」
「そうよ」
水無月さんは頬杖を着いて、スプーンでクリームを掬って口に運ぶ。
「どこでもいいですよ。水無月さんに任せます」
「……んく。はぁ、あんた……まあいいわ。ならこれ食べたら行くわよ」
「はい」
パフェを頬張る水無月さんはとてもかわいらしい。
さて、次はどう楽しませてくれるのかな。