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大沼幸二  作者: しろクロ
2/6

球場

青く広く澄み渡る空。

秋空に赤とんぼが舞う。

微力の風が心地よさを演出する。

そんな天気の下に多くの人が集まっていた。

老若男女、グループの人数も、ばらばら。

姿も、ラフな私服から、全身ユニフォームまで様々。

でも、皆の目的は一つ。

プロ野球の試合を見るだ。

「わぁ~すごい~」

「こらこら、信也。走るんじゃないぞ」

「信也、パパのいう通りだぞ」

とある家族の風景。

その中から、少年がかけていく。

それを父親ー上条当麻は説教し、母親ー上条美琴は、息子をなだめる。

「は~い」

信也と呼ばれた少年は、気の抜けた返事を返す。

彼の心は、完全に目の前の建築物に奪われていた。

「ねぇ、パパ、あれなんていうの?」

「あれは、西武ドームって言うんだよ」

「せいぶどーむ?」

「そうだよ、埼玉西武ライオンズというチームの本拠地なんだよ」

「ほんきょちってなに?」

「チームにとっての我が家みたいな物かな」

「へぇ~」

楽しく会話をしながら、噂の西武ドームに入場していく。

大沼さんからもらったチケットを見せると、一般の人とは、違う立派な場所に案内された。

あの紙には、思った以上に価値があったらしい。

通された席で、しばし試合開始を待つ。

しかし、子供にとって待つという行動は至難の業。

信也にとっても例外ではない。

食べ物や飲み物を買ったり、球場の中を父親と探索したりして時間をつぶす。

それなりに楽しんでいると、試合開始の時間が近づいてきた。

なので、戻ると……

『……みなさんこんばんは。今夜は、西武ドームからライオンズ対ホークスの試合を……』

とはきはきとしゃべている人の声が聞こえた。

もちろん、一人ごとではなく、テレビかラジオの実況だろう。

報道関係者が近くにいるとは、本当に良い席なのだと両親は再認識したのだった。

ふと、人々が会話を止め、スコアボードの一点を見つめた。

オーダー発表だ。


先攻 福岡ソフトバンクホークス


1番 セカンド   本多 雄一

2番 ショート   川崎 宗則

3番 サード    松田 宣浩

4番 ファースト  松中 信彦

5番 ライト    多村 仁志

6番 センター   長谷川 勇也

7番 レフト    ホセ・オーティズ

8番 DH      イ・ボムホ

9番 キャッチャー 田上 秀則


投手 巽 真悟



後攻 埼玉西武ライオンズ


1番 セカンド   片岡 易之

2番 レフト    栗山 巧

3番 ショート   中島 裕之

4番 サード    中村 剛也

5番 ファースト  石井 義人

6番 ライト    G.G.佐藤

7番 DH      ディー・ブラウン

8番 センター   大崎 雄太郎

9番 キャッチャー 細川 亨


投手 涌井 秀章



「あれ?」

信也は、首をかしげる。。

「大沼さんは、どこにいるの?」

信也は、選手の名前を全く知らない。

知っているのは、大沼幸二さんだけ。

試合に出場してない事に疑問を感じるのも、無理がない。

不思議そうな顔をする息子に答を導いたのは、父親だった。

「信也、大沼さんは、チームがピンチになると出てくるんだよ」

「なんかヒーローみたいだね」

朝にやっているゴセイジャーを思い出す。

ヒーローは、遅れてきてやってきて、ピンチをいつも救ってくれるのだ。

面影が重なる。

「大沼さんでてくるといいな」

「うん!」

うなずく。

きっと大沼さんは、でてくる。

核心は、ないのになぜか断言できる。

時は、満ちた。



審判は、手を高く突き上げ、宣言するー

「プレイボール!」

ー激闘の始まりを……

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