科学と宗教
A「なぜ、宗教などという非科学的なものが、これだけ科学の進んだ現代も根強く残っているのですか?」
B「宗教が非科学的ですか?それは何をもって非科学的と言うのでしょうか?」
A「だって、そうじゃないですか。たとえばキリスト教では、神が土くれから最初の人であるアダムを作り、アダムの肋骨から最初の女性であるエバを作ったと言いますが、こんなことを本気で信じているのは馬鹿げていると思います。本当に今のキリスト教徒は、聖書の内容をそのまま本気で信じているのでしょうか?これはまるで地球が今でも平らだと信じているのと同じようなものではないですか?」
B「なるほど、確かに、そのまま内容を解釈すると、そう思うかもしれませんね」
A「人類は猿から進化して生まれたのです。土くれから生まれたわけではありません」
B「はい、人類の歴史をさかのぼっていくと、20万年前のアフリカの1人の女性にたどりつくなどと言われています。キリスト教の聖書では6000年前に最初の人が生まれたことになっていますから、大きく違いますね」
A「そうでしょう、クロマニョン人でさえ3万年前にはいたのです、なので宗教は非科学的です」
B「まあ、そう結論を急がなくても。そもそも人というものを定義することさえ難しいのですから。20万年前にいたのが人でなくて3万年前にいたのが人であるなどと線引きすることはできません、6000年前にいたのが人かもしれませんよ」
A「二足歩行をして、道具を使うのが人ではないですか?」
B「そういう考え方もありますね」
B「私は宗教も科学も実は線引きされるものではないと思うんですよ」
A「どういうことでしょうか?」
B「人間って本当、化け物みたいなものだと思いませんか?人間こそが神のようなものですよ、飛行機を作り空を飛び、ロケットを作り宇宙にまで行く、インターネットでさまざまな情報を得る、空を飛びたい、遠くへ行きたい、色々なことを知りたい、そうした欲望が全て実体化している、これってすごいことだと思うんですよ」
B「あなたという存在をずっとさかのぼってみてください、あなたは誰から生まれましたか?」
A「それは私の母からです」B「では、その母を生んだのは?」A「私の祖母です」
B「それをずーっとさかのぼってください、行きつくところはどこですか?」
A「最初の生命体ですよね、単細胞生物ですよ」
B「その単細胞生物はどうやってできました?」
A「詳しくは知らないんですけど、たんぱく質が突然変異を起こしたんですよ、オゾン層が形成されて、有害な紫外線がたんぱく質を壊さないようになったから・・」
B「それで、そのタンパク質が生命体になったのはなぜですか?」
A「なぜって、それはわかりません・・たぶん、活躍したかったんじゃないですか?オゾン層が形成されて、よっしゃ俺の時代が来た!みたいな感じで」
B「それって物質が意思を持ったってことですよね?それって科学的ですか?それとも非科学的ですか?」
A「うーん、なるほど、そう考えるとよくわからなくなってきましたね」
B「そうでしょう、さらには物質そのものにもさまざまな性質がありますね、その性質も
意思と言えるかもしれません、たとえば引力は物が引き合いたいという意思が働いているわけですよね?さてそれでは、生命誕生からさらにさかのぼるとどうですか?」
A「生命誕生の前、地球誕生の前、太陽系誕生の前、ずーっとさかのぼると宇宙誕生までさかのぼれますね」
B「その前は?」A「その前はありません、ビッグバンの前は無だったからです」
B「ではなぜ、何も無い、無の世界から、今これだけのモノがあふれた世界になっているのですか?ビッグバンを発生させ、宇宙を作ったのは何なんですか?」
A「それはもう、神様が作ったとしか・・」
B「神様が作ったって、それって非科学的じゃあないんですか?」
A「うーん、そう考えると、本当に科学も宗教もあいまいなものですねぇ」
B「そうでしょう、物事を深く考えていくと、本質に迫ることができると思います。何事もすぐに結論付けてしまっては思考停止してしまいますよ」
A「なるほど、わかりました、考えることって楽しいですね。もっと色々なことを調べて考えてみようと思います」