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世界を管理する最弱女神は、滅びた世界をデバッグする  作者: パンダプリン


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第59話 どっちもどっちね。あなたたち

「一つ思った」


「はい! なんでしょうか!」


 今日もリオラは全力だ。

 ネルシアたちと別れた後、ちょっと思うことがあった。


「プロゴノスにはダンジョン操作を与えた」


「そうですね。あの犬がしっかりと信者を増やせばいいのですが」


 口が悪いのか、あるいは軽口を言い合える仲なのか。

 ……まあ、仲は悪くないし後者だねきっと。


「ネルシアには潮流の宝玉を与えた」


「ええ。神様から授かったものを壊すことなく使うとは、彼女も巫女見習いと認めてあげてもいいかもしれません」


 おや、出会ったときは自分こそが本物の巫女って感じだったのにね。

 アリアナたちがきたことで、リオラの意識もまた変わってきたのかもしれないね。

 うん。いい感じに成長していて神様は嬉しいよ。


「だけど、翼人たちには何もあげてない」


「いらないのでは?」


 ノータイムで反応しないでね。

 うちの巫女が今日も同種族に厳しい。

 しかも当然だと思っているのだからすごい子だよねえ。


「でも、何か平等に」


「翼人たちには、私という巫女を選出した栄誉を与えているので大丈夫です」


 むむ。案外納得できる理由を出してきたねえ。

 う~ん……。いいのかなあ?


「私は忌々しいことに翼人ですが、巫女ですし強いです。やすらぎ様のおかげでそんな戦士を作れた、十分です!」


 ……うん。リオラが言うのならそうなのかも。

 平気? 私洗脳されてない? リオラが言うことなら正しいんだよね?

 現地の翼人という当事者なのに、なぜここまで参考にならない気がするんだろう……。


「まあ、動物くらいは増やしてあげよう」


「やすらぎ様の慈悲にやつらをひれ伏させましょう」


    ◆


「やすらぎ様に感謝し、頭を垂れて祈り続けなさい!」


 初手祈りの強要をする。それが私の巫女です。

 そしてそれに従うのが翼人です。

 なんだ、この種族。


「久しぶり」


「も、申し訳ございません。神の使徒の情報はいまだになく……」


 あ、一応集めようとしてくれていたんだ。偉い。

 それなら、なおさらプレゼントしないとねえ。


「動物あげる」


「……? ……あ、ありがとうございます!」


 絶対わかってない。

 うん。私が悪かった。さすがに何の脈絡もなかったことは認めるさ。ごめんよ。


「やすらぎ様は海人族と魔族に宝と技能を与えました。翼人族には私という巫女を選出した栄誉を与えているのに、慈悲深きやすらぎ様はそれでは不平等だとおっしゃっています」


「な、なんと……。さすがはやすらぎ様だ! 聞いたかセファ!」


「聞こえてるし、うるせえし、喋んな。巫女様の邪魔だぞ」


 相変わらず仲いいねえ。

 さて、リオラのおかげでいい感じに話が進んでいきそうだね。


「よって、あなたたちにはやすらぎ様が動物を与えます。これを用いて生活をさらに改善し、祈りを捧げなさい。あと、動物のごとく繁殖して信者を増やせとおっしゃっています」


 おっしゃってない!

 ぜんっぜんおっしゃってないんだけど!?

 なんで納得してんの翼人ども!

 え? これ、私がおかしいの?

 というか、子供のリオラでさえそんな現実的な……。

 あ~。まあ、しょうがないよね。ギリギリの世界で生きていたんだし。


「……動物あげるからご飯も増える」


「た、たしかに! であれば、人が増えても飢えないかもしれない……!」


「魔物だけでなく、別の食料が……。ありがたい……」


 なんかけっこう死活問題だよねえ。

 魔物食べなさいってしてたけど、それはあくまでも応急処置だもの。

 魔物ばかり食べていても、きっと長生きはできな……。

 長生きは……。あれ? 寿命の設定って……どうなってた?


「……」


「やすらぎ様? どうされましたか?」


「……ナンデモナイヨー」


 やばっ!

 今気づいてよかった! それ、世界が安定した後に魔物が増え続ける原因になるじゃん!

 この世界が崩壊寸前で過酷で、明日をも生きられない世界だから見落としてた!

 絶対、この世界に寿命による死がないじゃん!


「……では、やすらぎ様にはお仕事ができましたので、与える動物についての説明や実際に運ぶのは私が行います。あなたたちにやすらぎ様が何度も御姿を見せるのは、もったいない」


「はい、感謝します! やすらぎ様! 巫女様!」


「やすらぎ様。どうぞこの場は私に任せて、お仕事にお戻りください」


「うん。みんなこれからもがんばって」


 リオラが優秀すぎる!

 私の異変を察して、すぐに私が仕事に戻れるように気遣ってくれた!

 あとで翼を二時間かわいがってあげるからね!


    ◆


「ひえ~」


「おかえりなさいませ。やすらぎ様」


「ただいまセレス」


「あれ、リオラ様はどうしたんですか? ご一緒していましたよね?」


「アリアナ。先に帰ってきた」


「な、何か大変なお仕事が発生したのでしょうか……? わ、私たちもお手伝い……しますか?」


「平気。ありがとう。フィーネ」


 見習い巫女たちも優秀だねえ。駄目なのは管理女神だけだよ!

 急げ急げ。寿命設定寿命設定。

 私はあわてて作業部屋兼私室に入ってシステムを呼び出す。


「システム。生体」


 ――管理コマンド入力


 ――[生体情報]

 ――対象:下位領域魔物群


 ……わあ。予想通り。

 寿命ないじゃん。この子たち。

 えっと……。翼人は? 海人族は? 魔族は?

 全部ないねえ……。


 どうしよう。

 このままじゃみんなが豊かな生活になったら、そのまま死ぬことがなくなってしまう。

 ど、どうする? 今から寿命をしれっと追加する?


 でも、何年にすべきなの?

 むむむむ……。これ、思い付きでさらっと変えていい問題じゃないねえ。

 っていうか、仕様も設計もろくにしない思い付きでの修正とか、新たなバグになる予感しかしない!


「……私は駄目な神様です」


「や、やすらぎ様!? 大丈夫ですか!?」


「ど、どうしよう……。リオラ先輩なら、こんなときに翼でケアするんだけど……」


「落ち着いてください、やすらぎ様。あなたが駄目な神様なら、あの邪神は邪悪です。駄目のほうが全然いいです」


 シュリー……。すっごい嫌われてる。

 いや、私もしっかりしないとシュリーの二の舞だ!

 しっかりと考えてから、まずは魔物たちの寿命を設定しよう。


 魔族は……どうしようね?

 プロゴノスとダスカロス。このままだと老衰しないってことになるのかな?

 いや、老化だけして死なないとかだと、それはそれで辛いね。


 う~ん……。シュリーが関与したからなあ。

 そのあたりの設定もちょっと読み解かないとね。

 あ~。やること増えてく。ふかふかが恋しい私の巫女の翼が。


「……まず、魔物」


 うん。それだけはしっかりとしておこう。

 そうしないと、今後も魔物を減らす方が間に合わなくなりそうだし。

 翼人が狩っているし、プロゴノスたちも管理と共食いさせているんだけどねえ。


 ただ、それでもこの世界の中では定着しちゃったんだろうね。

 汚染はだいぶなくなった。でも、汚染まみれだったこの世界は、魔物が簡単に現れるように定着した。

 ……いっそ、そっちを修正する? いや、これはこれで全体のコード見直しレベル。きっつい。


「ま、ぼちぼちやってこ……」


 明日の私に投げるとかではないけれど、焦らずしっかりがんばろう。

 そうしないとどうせ私のことだから、またどこかでミスするからねえ……。

 リオラ~。たすけて~。なぐさめて~。


    ◇


「以上が、やすらぎ様が授けてくださる獣たちです。あなたたちより賢いので、ありがたく思いなさい」


「は、はい!」


「……」


「巫女様。どうした?」


「……オルンですか。いえ、やすらぎ様が私を求めていた気がするので」


「……巫女になると、そんな技能まで?」


「いいえセファ。これは私のやすらぎ様への思いの強さがなせる業なのです!」


「そ、そうですか……」


 さあ、そういうことなのでさっさと帰らないといけませんね!

 やすらぎ様! あなたの巫女リオラが今すぐ戻りますよ!

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― 新着の感想 ―
駄目な方が良いですってフォロー下手くそか笑
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