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世界を管理する最弱女神は、滅びた世界をデバッグする  作者: パンダプリン


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第22話 いずれボスとなる者たち

 ふむふむ……。

 宝箱はオルンからすぐに伝わったね。

 オルンと対立というか、意見がわりと反対気味のセファも有用性を示している。

 そのせいか、翼人たちは宝箱を警戒するってことはないみたい。


「魔物を狩ってレベルを上げて、宝箱は回収」


「順調に強くなっていますし、もしものときのための保険も蓄えていますね」


「うん」


 魔物と翼人のバランス、これでそれなりに取れるようになったかな?

 今度は翼人が魔物を狩りすぎるということは十分考えられるし、そこだけは要注意だね。

 ダンジョンの中の魔物たちの様子、しっかりと見ていかないと。


「また食べてる」


「共食いですか。いくらでも生まれるからこそできることですね」


 この滅びかけた世界は魔物のもの、と言えるくらいには数が多いからねえ。

 やっぱり、世界に適合できているっていうのは強いよ。

 放っておいたら他の種族を滅ぼしてしまう。だけど、魔物が一方的にやられるのもよくない。

 何かあったらまた私が対応しないといけないかと思ったけど、今のところ魔物は魔物でたくましく適合しているみたい。


『げ、四つ目の強さだぞ。引き返そう』


『あの数はなあ……』


 見た目はわずかに変化するから、翼人たちは翼人たちでそんな魔物の区別もついている。

 いいね。互いにけん制しあうのは悪くないことだよ。

 翼人たちは浅い階層の魔物を間引き、魔物たちは滅びないように共食いをする。

 そうして互いに強くなり続ければ、世界の均衡がようやく釣り合うようになりそう。


「悪くない」


「神様の掌の上ということですね。素晴らしいです!」


 え~……。それはむしろ悪いことだと思うなあ。

 私は上位の神様たちと違って、この世界の全てを正しく管理する自信なんてないし。

 なので、翼人も魔物も海人族も、みんな自分たちで強くたくましく生きてほしいのだ。


「まだ早いかな」


 完全に私の手を離れるのは、きっとまだ先だと思う。

 それまでは、なんとか見守りつつ適宜修正していこう。

 神様だけど、案外やることは多くて大変だねえ。

 手当たり次第にデバッグするほどの信仰力もないから、やっぱり日に数か所だけしか直らないけど。


「? そうですね。神様がおっしゃるのなら、きっとそうなんだと思います」


 私の巫女がイエスマンすぎる。

 この子は特に私に依存しちゃってる気がするなあ……。

 それならそれで、この子一人くらいならずっと面倒をみてあげてもいいけど。

 巫女にした以上はもう普通の翼人でもないからね。


「……あ」


「あれは……。今までと違って、体そのものが大きくなっている気がしますが」


 そっか。魔物たちってレベルが一定以上まで上がるとこうなるんだ。

 ……ええ? 私、そこまで設定していないはずだよね。

 バグ? え、やばっ。あれ自体は別に今は問題じゃない。

 だけど、想定していない挙動が発生しているのは怖い。


「リオラ。私、しばらく管理システムを眺めるから」


「かしこまりました。では、神様の邪魔になりそうな者は全て排除しますね」


 しますね、じゃないが。

 排除する前に私に知らせてほしい。

 ……まあ、さすがに誰かが私たちに会いに来ることはないだろうけど。

 適当な場所を選んで神殿扱いしてからというもの、周囲にはめっきり生き物の気配がなくなった。

 神域扱いのため恐れ多いとかで、どの生き物も近寄らなくなったんだろうねえ。

 だから、私は邪魔をされずに作業できると思う。


 さて……覚えのない機能となると、組み合わせの問題か。

 あるいは実装したときの挙動で、想定しきれなかった部分があるか。

 一つ一つ調べていくとしよう。


    ◇


「なんだ……? この巨大な魔物は」


 これまでの四足歩行の魔物たちは、俺たちよりも小さな体の個体ばかりだった。

 それは、二つ目や三つ目に進んで強化された個体でも同じこと。

 多少の見た目や色の変化はあれど、ここまであからさまに異なることはなかった。


 でかい。

 ともすれば、別の種類の魔物ではないかと疑うほどの姿だ。

 だが、その特徴は他の魔物たちと変わらない。

 やはり、同じ種類の魔物なのか? であれば、こいつは魔物たちのボス……?


「どうする? オルン」


「一度当たってみる。それで無理なら逃げるぞ」


「聞いたな? 俺たちは退路を確保だ」


「オルンが駄目だったときのために、何人かは助けに入れるようにしておけ」


 話が早くて助かる。

 俺たちもそれなりに強くなったつもりではあるが……こいつとの力の差はどの程度だ。

 測れない。だが、気持ちで負けるようでは俺ではないな!


「行くぞ魔物!」


 槍を構えて突撃する。

 当たり所によっては、五つ目の魔物さえ致命傷となる攻撃だ。

 だが、魔物のボスはその攻撃を見た目にそぐわない俊敏さで回避した。

 やるな! この時点で五つ目の魔物よりはるかに強い!


「————!!」


 聞き取ることさえ困難な甲高い咆哮と共に、魔物は巨大な前足でこちらを抑え込もうと飛びかかる。

 だが、その勢いこそが俺が欲しかったものだ。


「——!!?」


 魔物は、やはり聞き取れないほどの音で叫んだ。

 だが、今回は苦しんでいることはわかる。

 俺の攻撃とお前の突撃、うまくかみ合ってそれなりの威力にはなっただろ。


「おお、いけそうじゃないか。オルン加勢するぞ!」


「ああ、頼んだ!」


 ここで仕留める。こいつはたしかに強いが、俺たちも強くなった。

 このタイミングで出会えたのは感謝すべきだ。

 放置していたら、さらに強くなっていた可能性も十分あり得るのだから。


「くそっ! 悪い、油断したつもりはなかったんだが!」


「気にするな、下がれ!」


 強いな。

 油断していなくとも、何かを間違えたらこちらが大怪我をする。

 これまでの準備がなければ、こいつを倒そうという考えも浮かばなかったかもしれない。

 あの傷を癒す水を大量に確保できている今だからこそ、こいつと出会えたことは幸運だったといえよう。


 集団で囲んでけん制し、隙を見つけた者が攻撃する。

 魔物の攻撃には細心の注意を払って対処し、崩れた者がいたら周囲でフォローしているうちに回復する。

 戦えている。巨大な魔物は確実に弱ってきている。


「終わりだ!」


 その一撃は、魔物の頭部を正確に貫いた。

 ……さすがに、これで倒れてもらわないと困るが。


「やったぞ!」


「さすがはオルンだ!」


 問題なさそうだな。

 体の大きさに比例して耐久力も上がっていたようだが、さすがに頭を貫かれて動けるはずもないか。

 魔物の四本の足から力が失われ、そのまま体を支えることもできずに崩れ落ちた。


「ふう……」


 これでようやく一息つける。

 仲間たちはみんな無事だな? 怪我人も治療の水のおかげですでに完治している。

 俺はすっかりと慣れた感覚でステータスを呼び出した。


 ――自己情報


 名称:オルン

 種族:翼人

 年齢:21


 レベル:35


 加護:武運の加護

 称号:語り継ぐ者、初陣の戦士、魔物狩り、討伐者、熟練討伐者、強敵撃破


 技能

 ・飛行

 ・魔物捕食

 ・槍術

 ・汚染耐性

 ・大物喰らい


 おお。さすがに強敵だっただけあって、一度にレベルが上がったぞ。

 このレベルというのはなかなかの曲者で、上がれば上がるほどに倒すべき魔物の数が増えるからな。

 最近では俺のレベルは上がらなくなって困っていたところだ。


 それに……称号も久しぶりに増えたな。

 強敵撃破か。悪くないな。あれはまさしく強敵だった。

 そんな強敵との戦いの記録を残してもらえている気がして、なんだか嬉しくなる。


 技能のほうは……この魔物を食べるためのものか?

 見るからにこれまでの魔物とは別だもんな。

 この技能がなければ、食料としては扱えないのかもしれない。


「しっかし、集めていた水が全部なくなったな。なんだったんだこいつ」


「むしろここで倒せて正解だったのかもな。こいつが強くなったら、俺たちの手に負えなかったかもしれない」


「こいつも……奥に進んだら複数で現れたりするのか?」


「それは勘弁してほしいな」


 相手は一匹、こちらは複数。それでこれだけ消耗したんだ。

 さすがに、これっきりということにしてほしいものだ……。


    ◇


「……倒されたか。これじゃあまだ足りないな」

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― 新着の感想 ―
何か最後に不穏な事言ってるのがいる笑
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