表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

甲子園が教えるものは、本当に礼儀なのか? ~ある有名野球人の報道を見て~

掲載日:2026/05/26

 昨晩、ある有名野球人の報道を見て、私は学校スポーツの苛烈な上下関係を思い出した。

 高校野球などのスポーツは、よく「礼儀を学ぶ場所」だと言われる。


 大きな声であいさつをする。

 監督の話を黙って聞く。

 先輩を立てる。


 たしかに、外から見れば美しい。


 土にまみれたユニフォーム。

 涙をこらえる球児。

 最後の夏に散っていく三年生。


 その姿に胸を打たれる人は多いだろう。

 だが、高校野球が教えているものは、本当に礼儀なのだろうか。



 礼儀とは、本来、相手を尊重するためのものだ。


 立場が上でも威張らない。

 立場が下でも人間として軽んじられない。


 強い者が弱い者を踏みつけない。


 そういう関係を作るために、礼儀はあるはずだ。

 ところが、強豪校の野球部で重んじられがちなものは、少し違うと思う。


 監督には逆らわない。

 上級生には逆らわない。

 疑問を飲み込む。

 理不尽でも耐え、黙って従う。


 それは礼儀というより、強い側に逆らわない「単なる処世術」ではないだろうか。



 三年間まじめに練習してきた三年生より、才能ある一年生が試合に出る。

 競技として見れば当然だ。勝つためには、最も能力のある選手を使う。


 興行として見ても、その方が分かりやすい。

 若きスターは観客を呼び、学校名も売れる。


 ……ならば、最初からそう言えばよい。


 甲子園は、勝利のみを競う場所です。

 才能ある者のみが出ます。

 結果を出せる者が、唯一選ばれます。

 ……つまり、そういう世界です、と。


 それなら筋は通る。

 だが、高校野球はしばしば「教育」の看板を掲げる。


 礼儀を学ぶ。努力を学ぶ。仲間を学ぶ。人間形成の場である。

 そう説明される。


 ここに最近、どうにも居心地の悪さがある。


 勝つ時は興行になる。

 批判される時は教育になる。

 才能ある一年生を使う時は実力主義になる。


 一度もベンチにさえ入れない万年補欠の三年生は美談になる。

 連投し故障し、将来を失った投手は根性になる。


 しばしば問題になる厳しい上下関係は伝統になる。

 監督の強権は名将の指導になる。


 あまりに都合がよすぎないか (。´・ω・)?



 本当に教育なら、試合に出る選手だけでなく、出られなかった選手の時間も大切にするべきだ。

 勝った選手だけでなく、負けた選手のその後も考えるべきだ。


 エースの肩や肘、栄光の陰に隠れた卒業後の人生まで守るべきだ。

 そして何より、上に立つ者が下にいる者を支配しすぎない仕組みを作るべきだ。


 しかし、現実には逆のものが教え込まれていないか。


 上の人間が強い。

 下の人間は黙る。


 強い者が決める。

 弱い者は従う。

 疑問を口にすれば、空気を乱す者になる。


 これを長く続ければ、人は礼儀正しくなるのではない。

 強い側の顔色を読むのがうまくなるだけだ。


 その処世術は、社会に出てからも残る。


 上司の無理な命令に逆らえない。

 理不尽な組織の空気を壊せない。


 おかしいと思っても黙る。

 強い立場になれば、今度は自分が下へ同じことをする。


 それは本当に、心を鍛えた結果なのか (。´・ω・)?


 私は違うと思う。



 心を鍛えるとは、ただ耐えることではない。

 大声で返事をすることでもない。

 上級生にひたすら頭を下げることでもない。


 本当に心を鍛えるなら、必要なのは別の力だ。


 怒りを抑える力。

 弱い立場の相手を守る力。


 上に立っても威張らない力。

 おかしいことへ、おかしいと言える力。

 自分より弱い者へ手を上げない力。


 そういうものこそを育てて初めて、心を鍛えたと言えるのではないか。



 高校野球には、人の胸を打つ瞬間がある。

 それは否定しない。


 けれど、その美しさの裏で、子どもたちへ「礼儀」や「教育」という名の服従を教えているなら、私たちはもう少し疑うべきだ。


 強い側へ逆らわない処世術を礼儀扱いする日本の土壌は、時に世界に冠たる技術企業でさえ、誤りを止める声を奪い、静かに沈めていく…… ( ˘ω˘ )

 報道の詳細を断定する意図はありません。

 ただ、それをきっかけに、学校スポーツや日本型組織に残る上下関係について考えました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
「裸の王様」でも「王様」は「王様」である。 どこかの大統領もそうかも。
大昔から日本にあった「偉い人には逆らってはいけない」という風土が、良くも悪くも未だに残ってますよね( ˘ω˘ )
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ