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それゆけ、孫堅クン! 改 ~ちょい悪オヤジの三国志改変譚~  作者: 青雲あゆむ
第3章 中華分裂編

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幕間: 洛陽の闇

 儂の名は袁隗えんかい 次陽じよう

 汝南袁家の頭領よ。

 早くから宮中で活躍し、重職を歴任してきた。


 そして劉弁陛下の即位と共に、太傅たいふという地位に就いたのだが、すぐに大事件が起こってしまう。

 大将軍 何進の暗殺に端を発する騒動の結果、董卓という田舎者が宮中の実権を握ったのだ。

 あの乱暴者め、たまたま劉弁陛下を保護できたのをいいことに、でかい面をしおって。


 それも元はといえば、袁紹と袁術が宮中に押し入ったにもかかわらず、天子を逃した結果なのだがな。

 まったく、あの馬鹿どもめ。

 もっと上手くやればよいものを。


 それはさておき、最初は董卓もしおらしいことを言っていたのだ。

 ”儂に政治は分からないので、細かいことは貴殿らにお任せしたい” などと言ってな。

 まあ、当然だ。

 あんな田舎者に、政治が理解できるはずがない。


 我らはこれ幸いと、濁流派の力をそぎつつ、党錮の禁で下野していた名士たちを引き上げた。

 これには周毖しゅうひ許靖きょせいなど、多くの者が協力してくれたものよ。

 それを董卓め、我らの勢力強化に利用されているとも知らず、感謝の言葉を述べたほどだ。

 まったく、単純な武人は扱いやすくてよい。


 しかし董卓めは、次第に野心を露わにしてきた。

 なんとヤツは劉弁陛下を廃位し、劉協さまを皇帝にしようと言いはじめたのだ。

 なんたる不遜ふそん、なんたる不敬であろうか。

 しかもヤツは武力を背景に、儂に脅しをかけてくる始末。


「劉弁陛下が皇帝のままでは、何太后の影響力が残ったままになる。それではまた宦官どもが、息を吹き返しますぞ」

「ぐむう……しかし廃位とは、あまりに恐れ多いではないか」

「前陛下の御子である劉協さまが、皇帝になられるのです。別に問題はないでしょう」

「いや、それでも……」


 言葉はていねいだが、ヤツは虫でも見るような目で、儂に圧力を掛けてきおった。

 さすがに命の危険を感じた儂は、やむを得ず廃位に同意したのだ。


 しかしヤツの横暴はそれに留まらなかった。

 とうとう自身が、相国しょうこくの地位に就くと言いだしたのだ。

 あの蕭何しょうか曽参そうしん以外には、誰も就かなかった官職にだ。


 おそらく儂よりも上位に立とうという意図であろうが、なんともあさましい根性だ。

 これはもう、捨ててはおけぬな。

 幸いにも、すでに種はまいてある。


 太守や刺史に任命した連中に、兵を挙げさせよう。

 さすればヤツは慌てふためき、我らを頼るはずだ。

 クククッ、関中の田舎者が我ら関東士人を御そうなど、百年はやいわ。



 その後、反董卓連合が大々的に旗揚げしたにもかかわらず、董卓は崩れなかった。

 それというのも、長沙の孫堅が董卓に味方したからだ。

 しきりに董卓の悪評を広め、あ奴を悪役に仕立てておいたというのに。

 これほど時流の見えない男がいたとは、驚くほかない。


 しかし孫堅は瞬く間に荊州の反董卓勢をかたづけ、洛陽へ駆けつけてみせた。

 董卓は大喜びでヤツを歓待し、旧交を温めたという。

 さらに孫堅は、朱儁や周忠までもを説き伏せて、董卓との協力態勢を築いたというではないか。


 その一方で儂は太傅を罷免され、謹慎を申しつけられたのだぞ。

 いくら袁紹が反董卓連合の盟主になったとはいえ、この汝南袁家をないがしろにするとは、なんと無礼な。

 その後、董卓の勢力は息を吹き返し、とうとう反董卓連合を撃退してしまったのだ。


 おのれ、孫堅。

 どこまでも忌々しいヤツだ。

 かくなるうえは、この袁家の総力をもって、追い詰めてくれる。

 ククク、見ておれよ。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 反董卓連合が瓦解して約2年。

 ようやく田舎者どもを駆逐する準備が整った。

 その間、儂は中原の協力者と連絡を取りつつ、王允おういんという手駒を手に入れていた。


 ヤツは口では漢王朝のためと言いながら、その実、権力欲に取り憑かれた俗人よ。

 あまりに底が浅いので、操るのに都合がよかったわ。

 王允は呂布という猛獣を手懐けると、董卓を襲わせた。

 あいにくと息の根は止められなかったが、実権を奪うことには成功する。


「逆賊 董卓はこの呂布が追い払った! 今後、あの悪党の暴力に脅える必要はない!」

「そうです。今後は私たちが漢王朝を正道に戻し、正しい政治を行うと約束しましょう!」


 ククク、実権を握った呂布と王允が、吠えておるわ。

 義理の父親を襲っておいて、正道もなにもなかろうに。

 しかし彼奴きゃつらが重要な役目をこなしてくれたのは事実。


 しばらくはいい目がみれるよう、配慮してやるか。

 そしていよいよ儂が、宮廷に復帰するのだ。

 ククク、またあの権力を手にするのも、そう遠くないであろう。



 な、何っ!

 ほんの1週間足らずで、孫堅が攻め寄せてきただと?

 しかもヤツは巧妙に呂布をおびき寄せ、拘束されていた朱儁を解放したという。


 まずい!

 このままでは我らの命が危うい。

 ここは安全をみて、洛陽を退去するか。


 なあに、罠を仕込めるのは洛陽だけではない。

 いずれ孫堅も、息の根を止めてくれるわ。

 最後に笑うのは、儂だ。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 馬鹿なっ!

 孫堅が襄陽の罠を食い破っただと?

 あれほど巧妙に、そしてひそかに罠を張り巡らせたというのに。

 なんという常識はずれなヤツだ。


 蔡瑁や蒯良たちは逃げたようだが、この先どうなることやら。

 あまり期待はできないが、テコ入れはしておくか。

 まったく、使えない奴らであった。


 しかし儂はこの先、どうするべきだろうか。

 とりあえず袁紹を旗頭にして、再び反乱軍は立ち上げた。

 それに益州の劉焉までが呼応してくれたのは、上出来と言えるだろう。


 次は揚州を攻めとり、そして中原の支配を固めて、堂々と攻め上がるか。

 ククク、孫堅め。

 この汝南袁家を敵に回したことを、たっぷりと後悔させてやるわ。

 そしてその後は、我が袁家が中華を手にするのも、悪くはないな。

董卓と孫堅の暗殺未遂は、袁隗クンが裏で糸を引いていたというお話。

史実では董卓にあっさり殺されてる人物なので、ちょっと違和感があるかもしれません。

しかし今回は罷免されて2年も暇だったので、その間に暗躍したという設定です。

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前作の”それゆけ、孫策クン! 改”はこちらから。

それゆけ、孫策クン! 改

孫策が暗殺を回避して、新たな歴史を作ります。

劉備ファンの方は、こちらもどうぞ。

逆行の劉備 ~徐州からやりなおす季漢帝国~

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