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それゆけ、孫堅クン! 改 ~ちょい悪オヤジの三国志改変譚~  作者: 青雲あゆむ
第2章 後漢動揺編

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幕間: 袁紹クンは逃げ出した

 俺の名は袁紹えんしょう 本初ほんしょ

 汝南袁家に連なる、期待の星だ。

 なにしろ我が袁家は、四世三公しせいさんこうの名門である。


 その中でも俺は、早くから取り立てられ、清廉との評判を得ている。

 おまけに母上が亡くなった時は、ちゃんと3年間も喪に服したし、さらに父上の分も服喪した孝行者だ。

 (注.服喪にかこつけて、6年間もプータローしていたとも言える)


 その後、洛陽で交友を広めていたら、叔父上に叱られたので、出仕することにした。

 何進将軍の属官から始めた俺は、やがて侍御史じぎょし虎賁中郎将こほんちゅうろうじょうを歴任し、とうとう司隷校尉にまで昇りつめた。

 やっぱりできる男は違うよな~。

 困っちゃうな~、もう。


 しかしこの頃になると、上司の何進将軍と宦官との対立が、抜き差しならないことになっていた。

 おりしも劉宏陛下が崩御なされ、劉弁さまが皇帝に即位された直後である。

 このまま宦官を放置すれば、朝廷の腐敗は進み、また実権を握られるかもしれない。


 そう思った俺は、何進将軍に宦官の誅滅ちゅうめつを提案したのだ。

 将軍はそれに賛同してくれたが、彼の義妹である何太后が首を縦に振らない。

 彼女にとって宦官は、便利な存在だからだ。


 そこで俺は、地方の軍閥を洛陽に呼び寄せ、その武威で何太后に決断を迫ろう、と将軍に献策した。

 めでたくその策は採用され、董卓とうたく橋瑁きょうぼう丁原ていげんを呼び寄せた。

 しかしその武威を目の辺りにしてもなお、何太后は宦官誅滅に同意しなかった。

 それどころか、将軍までが実行をためらう始末だ。


「何進さま! すでに我々の計画は、宦官どもの知るところとなりました。ここで実行をためらっていては、我々が寝首をかかれますぞ!」

「むう……そうは言ってもな。うかつなことをすれば、我らが逆賊にされかねぬ」

「それでもです。ご決断を!」

「う~む……もう少し待て」

「くっ……分かりました」


 何を悠長なことを言っているのだ。

 このままでは本当に我らの身が危ういのだぞ。

 そう思って歯噛みしているうちに、なんと何進将軍はノコノコと参内して、宦官の張譲ちょうじょうたちに殺されてしまった。


「何進将軍が殺されただとっ! 者ども、武器を取れ。今こそ宦官を皆殺しにする時だ!」

「「「おうっ!」」」


 それを知った俺は、ただちに兵を率いて宮中へなだれ込んだ。

 他にも誰か動いたのか、宮中には火の手が上がり、混乱している。


「宦官どもを1人残らず捕らえろ。逆らう者は殺してかまわん」

「「「ははっ」」」


 そこからはもう、怒涛の勢いだ。

 俺たちは宦官を見つけしだい、斬り殺していく。

 中には間違いもあったかもしれんが、やむを得ん。

 これは義挙なのだ。

 (注.許可もなく宮中に踏み入った時点で、大逆罪である)


 な~に、天子を手に入れさえすれば、なんとでもなる。

 そう考えていたのだが、事態は思うように進まなかった。


「天子さまのお姿が見えません」

「なんだとっ! よく探したのか?」

「はっ、くまなく。どうやら誰かの手引きで、宮殿を抜け出したようで……」

「ただちに見つけ出せっ!」

「はっ!」


 まずい、まずい、まずい。

 このままでは権力を握れないばかりか、冤罪すら押しつけられるかもしれない。

 (注.すでにまぎれもない大罪人である)


 その後、必死に天子を探したものの、事態は予想外の展開を見せる。


「天子さまと陳留王(劉協)さまを、洛外で保護した。俺はこのまま、天子さまの警護を受け持つ。異論はないな?」

「うぐっ……」


 あろうことか、董卓が天子を連れて入城してきたのだ。

 しかもヤツは天子を身近から離さず、その権威を笠に着て、好き勝手を始めた。

 ふざけるなっ!

 関中の田舎者が、偉そうにしおって。


 その後、天子が大赦を発したことで、我らの罪は沙汰止みになった。

 まあ、漢朝のためにやったことなので、責められるはずもないがな。(ドヤ顔)

 しかしその後が、ヒッジョーによろしくなかった。


 董卓のヤツめ、短期間で洛陽の軍勢を支配下に収めたうえ、司空に就任したのだ。

 そのために執金吾しっきんごの丁原を暗殺するという、野蛮なやり方でだ。

 まったく、なんて残虐な男であろうか。


 そんな董卓の蛮行を止められず、苦々しく思っていると、ヤツから呼び出しがあった。

 まさかこの袁家の期待の星を、殺しはしまいと思って応じれば、とんでもないことを言われる。


「儂は天子さまには、劉弁陛下よりも劉協さまの方が、ふさわしいのではないかと思っている。貴殿もそうは思わぬか?」

「……そ、それはなんとも。あまりに重大な事ゆえ、叔父上に相談させてもらいたいと思います」

「そうか。袁隗えんかいどのにも、よろしく伝えてくれ。これから貴殿らには、いろいろ協力してもらいたいと思っておる。互いに手を取り合って、漢朝を立て直そうではないか」

「は……」


 はあっ?!

 なに言ってんだよ、このバ~カ!

 俺がお前なんかと、協力するわけねえだろうが!


 今回のことでよ~く分かった。

 俺はこいつとは一緒にやれない。

 こいつと同じ空気を吸ってると思うだけで、耐えられないほどだ。


 しかしこのまま洛陽に留まれば、いつ始末されてもおかしくないな。

 よし、逃げよう。

 行き先はとりあえず、冀州でいいか。

 あそこにはいろいろと使えるヤツがいるからな。

 そうと決まれば、ただちに脱出だ。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ワハハハハ、董卓のヤツ、なんと俺を渤海太守に任命してきやがった。

 やっぱり俺を敵に回すと、まずいと分かってるんだな。

 しょうがないから受けてやるか。

 そして力を蓄えて、いずれは……



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 ワハハハハ、とうとう中原のあちこちで、董卓に対する反乱の火の手が上がりはじめた。

 いやいや、反乱じゃなかったな。

 義挙だ。(キリッ)


 これは漢朝を正道に戻すための、義挙なのだ。

 そしてその盟主に、俺がなって欲しいって言うんだからな~、困っちゃうな~。

 まったく、できる男はつらいぜ。


 こうなったら俺の力で、董卓を誅戮ちゅうりくしてやろうじゃないか。

 そして今度こそ俺が、この中華で最大の権力を握るのだ。

筆者の中で、後漢を滅亡に追いやった戦犯第1位の袁紹クン。

董卓たちを呼び出そうって言い出したのこいつだし、宦官を虐殺してるし、反董卓連合の盟主やってるしで、もういろいろとギルティ。

だけど反董卓連合の方が、いいもん扱いされてるという歴史の不条理。

まあ、公孫瓚を倒して一大勢力を築いたあたり、それなりの人物だったとは思いますが。

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董卓の視点で汚名返上を目指す話を始めました。

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― 新着の感想 ―
まあ、反董卓連合には 魏蜀呉の立役者が全員いたからねぇ 流石に悪者には出来んもん...
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