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旅の紀行記怪談  作者: Eisei3


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9/10

紀行記怪談『出雲大社・松江城・鳥取砂丘』

 これは、島根県の出雲大社を訪れた時のお話です。

 先に、松江城、鳥取県の鳥取砂丘を訪れた話を書いてあります。

 やはり数年前の、桜の花の咲く時期のことでした。


 

 『 国宝 松江城 』 

 

 国宝 松江城。現存12天守の一つ。


 城をとり巻く堀割りを、観光客を乗せた小舟が進んでいく。

 船頭が竿を水面に突いては、またあげ、先の水面を突く。そうして、客たちが乗る小舟は音もなく、水面を渡っていく。

 

 水の都、松江。蒼く澄む宍道湖(しんじこ)畔に開けた、松江市の街並み。

 その宍道湖に繋がる堀川の、掘割に守られた城郭の上に松江城は立っていた。

 豊かな水で満たされた堀割りの水面(みなも)を、涼しげな風が、桜の花びらをもて遊びながら通り抜けていく。


 季節は丁度、桜満開の風香る、花の季節。

 駐車場に車を停め、お城へと続く広場にはステージが組まれ、大勢の人たちが集まっている。丁度、桜まつりのイベントの歌謡ショーが開催されているところだった。

 


 天守へと続く道沿いには、季節の桜まつりのぼんぼりが立ち並ぶ。場内に植えられる桜並木は満開の桜の枝先を、(ぬる)い微風にそよりとなびかせていた。

 桜色のぼんぼりに()が灯される宵は、さぞや木立に咲く桜も色めかしく咲き誇って見える事だろうか。そして、天守の側壁を護る、漆黒の板壁までもが艶めかしく …。


 

 故事によると、

 城の築城時、何度積み直しても完成間近になると、ガラガラと大きな音を立てて崩れてしまう石垣。

 崩れた石垣の場所を掘り起こしてみると、槍の穂先が刺さった髑髏(しゃれこうべ)が一つ、現れたという。その髑髏を供養して、やっと石垣は完成したとのこと。


 また別の話では、人柱を立てる事になったとも。折しも盆踊りの時期であったため、城下で盆踊り大会が催され、その中で一番美しく踊りの上手い娘がさらわれ、生きたまま人柱にされてしまった。

 結果、その石垣は無事に積み上げる事ができたのだが、それ以来、城下で盆踊りが行われると天守が大きく揺れ動き、御城下に災いが起こったともいう。そのため、今でも、松江城近くでは盆踊りは行われていないという。

 そして、松江藩の藩主が二代続けて改易となったのも、この娘の祟り(たたり)だったとも …

 

 悲しい話である …。



挿絵(By みてみん)

(松江城天守 桜が満開の中、桜祭りのぼんぼりが)

(☆こんなに、壁が黒かったっけ? … 正直写真を見返すと、不気味にも感じる黒さ。

 ネットの情報によると、直ぐ近くに宍道湖があり、冬も雪が多く非常に湿気が高い土地との事。黒い部分は厚い木の板で、湿気から木材を守るため、塗料に柿渋やすす、漆を混ぜて作られた特殊なものを使っているとの事。これが天守を、引き締まった「黒」に染めているとのことであった。でも、怪しい黒だ …)




◇◆◇◆◇…




 『 鳥取砂丘 』

 

 広大に広がる、白い砂浜の海原。


 引きラクダが三頭。はむはむと口を左右に()みながら、白い砂の上に膝を折り、静かに佇んでいる。

 

 防風林の苗木が植えられ、根元の砂が、風で吹き飛んでしまう砂避けなのか、柵がぐるっと周囲を取り囲む。


 

 遥か遠くに聳え立つ、馬の背の砂の絶壁。その手前に、茶色く染まる砂地の中に、滲み出た水が溜まってできた湿地が、緑色に染まる窪地になっているのが見えている。まるで、砂漠の中のオアシスのように。

 

 馬の背の山の脇には、海へと続く急な斜面を登る大勢の人たちの姿が、けし粒の姿となって見える。


 あの高く聳える馬の背の向こうに、青い日本海の海が広がっているはずだった。


 

 私も、馬の背の一番高い場所に向かって、砂丘を歩いてゆく。一歩一歩、砂を踏み締めながらゆっくりと。

 さらさらとした乾いた砂にスニーカーの足元が取られ、一歩歩みを進めるたびに、靴底は半歩後ろへと下がる。


 晴れ渡った清々しい青空の下、陽の光の中に輝く馬の背の山は、白く、悠然と聳え立っている。

 馬の背の一番高い所から、砂煙を上げながら真下へと、果敢に滑り下る猛者の姿もあった。

 

 滑る足元を踏み締めながら山の途中に立ちどまり、汗を拭きつつ振り返る。

 遥か、眼下の向こうとなった砂丘の入り口には、防風林の低い柵が、ずっと道路沿いに続いている。その低い防風林の柵のわきでは、観光客たちがラクダの背に(またが)り、砂の砂漠を揺られ歩いている。まるで、月の砂漠をいくかのように …



 馬の背をやっと乗り越える。 と …、途端、眼前に、青い空とのっぺりとした日本海の蒼い海が現れる。

 砂丘の高台から、色とりどりのパラグライダーの翼が青い空と海に向けて飛び立っていく。


 近年、広がる砂丘に雑草が繁茂して景観上の問題となっているというが、私が訪れた時はまだ、眩い陽に白く輝く、白い砂丘の砂浜がどこまでもひたすらに、ずっと続いていた。



 鳥取砂丘には、昔から、夜中になると砂丘の地面から手が伸びてくるという、怪異の噂があったという。

 そして実際、2011年に男女四人の白骨が見つかり、その場所が丁度、手が出てくるという噂の場所と一致したとも。


 地元の話では、明治時代初期に流行したコレラにより病死した人を、砂丘に埋葬したとの事であるよう。


 

 だがそれは、毎夜、砂丘の土中深くに眠る者たちが浮かばれようと、地上に這い上がるため手を伸ばしていた姿だったのかもしれない …

 もしその時、運悪く、その場所に居合わせてしまったとしたら …  果たして ……



挿絵(By みてみん)

(鳥取砂丘 馬の背遠景)




◇◆◇◆◇…




 『 出雲大社(いずもおおやしろ)

 


 昭和34年再建の拝殿は、太さ3m、長さ8m、重さ1,500kgの巨大な注連縄(しめなわ)で知られる。

 出雲大社の注連縄は、一般の神社とは違い、左右が逆となっている。


 参拝者が皆、必ず手を合わせる大社の礼拝方式は、ニ礼()()一礼である。

 また、御神体は、稲佐の浜のある西の方角を向いて鎮座している。そのため、拝殿から本殿正面を見ると、神様を横から参拝する形になっている。



 出雲大社の景観の魅力である、国宝に指定される現在の本殿は、延享(えんきょう)元年(1744年)に建てられたもので、高さは24mある。

 「大社造」と呼ばれる、日本最古の神社建築様式を現在に伝えている。

 


 出雲大社は、国内でも有数のパワースポットとされる。参拝すると、人生に大きな変化が訪れるとも。


 また、出雲大社は、縁結びの神様としても良く知られている。

 だが、その力が非常に強いため、「不必要な縁も切れてしまう」という話があるともいう。今まで良好だった人間関係や、恋愛関係が突然終わってしまうこともあるとも。

 これも、()()()()()()()()()()、から切れたという事なのだろうか … 将来を見越しての …

 何か、途轍(とてつ)もなく不条理で、恐ろしい事のような気もするのだが。


 

 出雲大社の本殿は、これまでの歴史の中で、その高さが変化してきたといわれる。

 最も古い時代の、古代には32丈(約96m)あったと伝えられる。また、中世・平安時代には16丈(約48m)であったとされる。


 文献資料にも、十一世紀の前半に、出雲大社の社殿が突如倒れたという記録から始まって、中世から近世にかけてもたびたび倒壊したという記録があるとされている。

 そのため、やはりこれは、相当な高さの社殿があったと考えられてきた。 …が、その裏付けとなる証拠が薄く、あくまでも推測でしかなかったようだが。

 

 だが、その証拠が2000年に、境内から発見された。

 それは、1mを越えるスギの大木3本を一組にした、直径が3mにもなる巨大な柱だった。

 この柱は、鎌倉時代前半の宝治(ほうじ)2年(1248年)に造営された本殿を支えていた大柱である可能性が、極めて高いとされ、高層神殿の存在を示唆する発見となっている。


 発見された、棟を支える棟持柱(むなもちばしら)が、宝物殿に実物展示されていたが、実際にその巨大さを目の前にして、感動した覚えがある。


 



 有名な出雲大社の大注連縄(おおしめなわ)は、神楽殿(かぐらでん)に飾られているもので、長さ13.6m、重さ5.2トン、胴回り最大8mという、日本最大級の大きさを誇る。

 これは、5~6年に一回、新しい物に交換されるとのこと。


 不謹慎この上もない事ながら、ついこの注連縄に、女性の艶めかしい太腿と脚を想起してしまうのは、私の心が汚れ切ってしまっているからなのだろうか。

 むちむちとした、フクヨかな女性の …


 

 新たな出会いを願って、この出雲大社を参詣しているという身にもかかわらず …。



挿絵(By みてみん)

(出雲大社拝殿 注連縄  奥は、本殿)



挿絵(By みてみん)

(神楽殿 大注連縄)



 (了)



 

 お読み頂き、ありがとうございました。


『国宝 松江城』 現存12天守の一つ。立派な、堂々としたお城でした。

(松江城の堀割りを巡る遊覧船『ぐるっと松江 堀川めぐり』は、現在、実際には動力船であり、船頭が竿差しする事はありません。作中の記述は、昔の遊覧船をイメージしてみたものです)

  

『鳥取砂丘』 広大な砂の海原。青い空と蒼い日本海の色と、対照的な印象でした。


『出雲大社』 縁結びの神様。ずっと訪れたかった場所でした。新たな出会いを願いに…(未だ、全くその兆しはありませんが …(笑))


 また、いつか訪れたいと思います。


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