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異世界転生した俺は、AIで魔法の精度を極めて無双する  作者: 蒼井テンマ


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第9話 帰ってきたのは、一人だけ

次の依頼は、最初から嫌な匂いがした。


掲示板の端。

人の集まらない場所。


【街道沿い魔物掃討】

【合同依頼】

【報酬:銀貨二十枚(分配)】


「人手が足りねえんだ」


受付の男が、淡々と言う。


「単独は認められない。

 最低四人だ」


《依頼条件:高リスク》

《分配方式:生存者割》


……分かりやすい。



集まったのは、五人。


FとEが混じる即席パーティ。


派手な杖。

新品のローブ。


「銀貨二十枚だぞ」


一人が、浮かれた声を出す。


「一人四枚。

 悪くねえ」


「生きて帰れればな」


俺が言うと、鼻で笑われた。


「慎重すぎだ」


《対人評価:軽視》



現場は、森沿いの街道。


視界は悪く、逃げ道も限られる。


《地形危険度:中》

《魔物反応:複数》


「散開するぞ!」


誰かが叫ぶ。


――悪い判断だ。


「固まれ」


俺は言った。


「逃げ道を確保しろ」


「Fが指図すんな!」


声が飛ぶ。



魔物が出た。


数は、想定より多い。


高出力魔法が、放たれる。


派手だ。

だが――


《魔力枯渇:急上昇》


一人、詠唱が止まる。


「くそ……!」


次の瞬間、前線が崩れた。



混乱。


叫び声。


一人が倒れ、

もう一人が引きずられる。


「下がれ!」


俺は叫ぶ。


だが、聞かれない。


《撤退同意率:0%》


なら――

自分で決めるしかない。



俺は、下がった。


最短距離で。


当てる。

止める。

離れる。


魔法は最小限。


《魔力消費:安定》


派手さはない。

だが、途切れない。



背後で、爆音。


高出力魔法が暴発した。


悲鳴。


それで、終わった。



気づけば、森は静かだった。


俺だけが、立っている。


折れた杖。

焦げた地面。


《生命反応:なし》


……全滅だ。



ギルドに戻る。


夕方。


受付の男が、俺を見る。


「……他は?」


「戻らなかった」


男は、深く息を吐いた。


「またか」



報告書。


死亡者五名。


原因欄には、短く書かれた。


【戦闘不能】


それ以上は、問われない。



「報酬は?」


俺が聞くと、

男は首を振った。


「全滅扱いだ」


「……」


「分配はなし」


《収入:0》


机の上は、空だ。



だが、男は俺を見た。


「お前、生きてるな」


「ああ」


「それでいい」


それだけだった。


《内部評価:上昇》



夜。


安宿の部屋。


銀貨は、増えていない。


だが――

借金も、怪我も、ない。


《生存状態:良好》


AIの表示が、淡々と示す。


(銀貨二十枚は、

 命の値段だったのか)


なら、

支払われなかったのは当然だ。



翌朝。


掲示板に、新しい札が貼られていた。


【高リスク】

【帰還条件:生存】

【報酬:銀貨十五枚】


分配、ではない。


《条件変更:注目》


俺は、札を見上げる。


討伐数でもない。

成果でもない。


帰ってくること自体が、仕事。


俺は、札を剥がした。


静かに。

迷いなく。


ここでは、

生き残った者だけが、

次の仕事を選べる。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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