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異世界転生した俺は、AIで魔法の精度を極めて無双する  作者: 蒼井テンマ


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第5話 共同研究課題

一年次の中盤に差しかかる頃、

学園は次の“選別”を始めた。


「共同研究課題を実施する」


教師の一言で、教室がざわつく。


「魔法理論と実技の統合評価だ。

 二人一組で課題に取り組め」


評価対象は、


成果


効率


再現性


だが、全員が知っている。


実質的には、魔法科上位者の見せ場だ。



組み合わせが、読み上げられていく。


貴族と貴族。

魔力量と魔力量。


順当な組み合わせ。


「……次。

 レイ・アルトナー。

 エリナ・フェルシュタイン」


一瞬、空気が止まった。


ざわめきが、遅れて広がる。


「なんであいつが……」

「釣り合わないだろ」


エリナ自身も、わずかに目を見開いた。


《相互干渉:強制》


AIの表示が、淡々と現実を示す。



「よろしく」


エリナは、最低限の礼儀だけを向けてきた。


「足を引っ張らないで」


「そのつもりはない」


「ならいいわ」


会話は、それで終わった。



課題内容は単純だった。


指定術式の改良。


威力を落とさず


詠唱を短縮し


魔力消費を抑える


――理論上は、難題だ。


エリナは即座に動いた。


「詠唱を削るなら、魔力を増やすしかない」


「その場合、暴発率が上がる」


「結界があるわ」


彼女は、当然のように言う。


《思考傾向:短期最適》


AIが補足する。



「術式構文、ここが冗長だ」


俺は、指で構文の一部を示した。


「この補助符、二重になっている」


エリナは眉をひそめた。


「それは安定化のためよ」


「過剰だ。

 魔力制御が追いついていないから、余計に必要になっている」


「……感覚で言わないで」


「計算だ」


《構文誤差:+6.2%》

《簡略化余地:あり》


AIが、数値を示す。



エリナは、しばらく黙った。


そして、試すように詠唱を組み替える。


火球が生まれる。


以前より、明らかに小さい。


だが――


結界への衝撃は、ほとんど変わらなかった。


「……」


彼女の目が、わずかに揺れる。


「魔力消費は?」


「約二割減」


エリナは、信じられないものを見るように、火球の痕跡を見つめた。


《成功率:92.8%》



「どうして……」


「魔力が多いほど、制御を甘くできる。

 だから気づきにくいだけだ」


「私は……間違ってた?」


「間違ってはいない。

 ただ、無駄が多かった」


エリナは、唇を噛んだ。


天才は、

自分が改善できる余地があることを、初めて突きつけられる。



発表の日。


二人の成果は、教室の注目を集めた。


「詠唱短縮、三割。

 威力低下、誤差範囲内……?」


教師の声が、少しだけ上ずる。


「優秀だ」


だが、続く言葉は冷たかった。


「ただし、この改良は高度すぎる。

 一般化には向かない」


《評価:限定的》


エリナが、ゆっくりと俺を見る。


「……あなたのやり方、評価されないのね」


「いつものことだ」



解散後。


エリナが、珍しく足を止めた。


「あなたの魔法は、

 強くない。

 でも……危険でもない」


「褒めているのか?」


「……たぶん」


《感情反応:複雑》


彼女は、そう言って去っていった。



カイルが、廊下の端で待っていた。


「どうだった?」


「成果は出た」


「評価は?」


「微妙だ」


カイルは、肩をすくめる。


「らしいな」


《信頼形成:安定》


AIが、静かにログを残す。



夜。


机に向かいながら、俺は思う。


(理解されなくてもいい)


だが――

理解できる人間が、確実に増えている。


それだけで、十分だった。


《学習フェーズ:深化》

《次段階条件:社会的摩擦》


次は、

摩擦が“事故”として現れる。


俺は、まだ知らない。


それが、

取り返しのつかない形になることを。

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