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異世界転生した俺は、AIで魔法の精度を極めて無双する  作者: 森永あおば


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第4話 評価されない正解

実技評価の結果が張り出されたのは、翌朝だった。


廊下の掲示板前には、人だかりができている。

歓声と落胆が、はっきり分かれていた。


「やった、上位だ!」

「やっぱりエリナは別格だな」


名前の並びは、分かりやすい。

魔力量が多い順。

結界を大きく揺らした順。


《評価基準:出力依存》


俺は、掲示板の端を一瞥しただけで視線を外した。


《順位:下位》

《備考:実戦不向き》


……予想通りだ。



「ふざけんなよ……」


カイルが、低く唸る。


「どう見たって、外してたやつの方が多かっただろ」


「評価は命中じゃない」


「それがおかしいって言ってるんだ!」


剣士科の生徒が何人か、黙って頷いた。


彼らは分かっている。

当たらない攻撃が、実戦でどれほど無意味かを。


《剣士科戦闘思想:命中・持久・連携》


AIが、静かに整理する。



次の授業は、講義だった。


担当は、実技評価を下した教師。


「魔法とは、抑止力だ」


教師はそう言い切った。


「敵を近づけないための力。

 威力こそが、価値を決める」


誰も反論しない。


反論する理由が、ない。

ここでは、それが“正解”だからだ。


俺は、手を挙げた。


教室が、わずかにざわつく。


「何だね」


「質問があります」


教師が、少しだけ面倒そうに頷く。


「高出力魔法を連続使用した場合、

 魔力枯渇後の戦闘継続は、どのように想定していますか」


一瞬、沈黙。


「……それは、支援が補う」


「支援が間に合わなかった場合は」


教師は、眉をひそめた。


「仮定の話だな」


《論点回避:確認》


AIが、淡々と表示する。



「実戦では――」


俺は続けようとした。


「十分だ」


教師が、遮る。


「君は優秀だが、視野が狭い。

 この学園では、まず力を示せ」


力。


それ以上の議論は、不要だという顔だった。


《結論:精度・持久は評価外》



授業後。


廊下で、エリナとすれ違う。


彼女は、俺の順位表を見ていた。


「……納得してるの?」


「評価に従っているだけだ」


「悔しくないの?」


「悔しさは、改善に繋がらない」


彼女は、少しだけ眉を寄せた。


「変な人」


「よく言われる」


《感情反応:軽度苛立ち》


天才は、

評価される世界に疑問を持たない。


疑問を持つ必要がないからだ。



その日の夕方。


剣士科の訓練場から、金属音が響いていた。


カイルたちは、何度も何度も同じ動きを繰り返している。


派手さはない。

だが、一切の無駄がない。


《動作誤差:極小》

《持久戦適性:高》


「魔法使いより、よっぽど制御されてるな」


俺がそう言うと、カイルは苦笑した。


「評価されねえけどな」


「生き残る」


「それだけだ」


それで十分だと、俺は思った。



夜。


寮の部屋で、俺は椅子に座る。


《補足推論:高出力魔法は、実戦継続時間を著しく短縮する》


AIの表示が、静かに浮かぶ。


(やはり)


この学園は、

短期的な勝利だけを評価する場所だ。


だが、戦場は違う。


ダンジョンも、魔物も、

待ってはくれない。


(なら)


俺は、決めた。


ここでは評価されなくていい。


評価される場所へ、行けばいい。


《目的変数:未設定》

《方針:精度・持久・再現性の蓄積》


静かな夜だった。


だが確実に、

俺はこの学園と、ズレ始めていた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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