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異世界転生した俺は、AIで魔法の精度を極めて無双する  作者: 森永あおば


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第19話 数字が止まる

変化は、静かだった。


誰も、気づかないほどに。



朝。


役所の男が、帳簿を抱えて立っていた。


「……あの」


声が、わずかに震えている。


「何だ」


「人口が……」


彼は、紙を差し出した。


《人口推移:

流出 0》


俺は、黙って頷いた。


想定内だ。



「昨日も、

 誰も出て行っていません」


「そうか」


「……それだけ、です」


それだけ。


増えてはいない。

戻ってもいない。


だが――

減っていない。



市場。


相変わらず、静かだ。


だが、店が閉じていない。


《店舗稼働率:維持》


一軒の店主が、ぽつりと言った。


「今日は、赤字じゃない」


それは、奇跡じゃない。


ただの、現実だ。



畑。


作付けは、例年通り。


「増やせませんでした」


農夫が、申し訳なさそうに言う。


「それでいい」


彼は、戸惑った顔をした。



夜。


帳簿を開く。


税収。

支出。

備蓄。


すべて、

昨日と同じ。


《収支差分:

±0》


AIの表示が、確定的になる。



「……止まったな」


俺は、独り言を言う。


冒険者の時、

撤退できたダンジョンは――

死者が出なかった場所だ。


ここも、同じだ。



数日後。


国からの使者が来た。


書類をめくり、首を傾げる。


「改善が、見えません」


「していない」


「では、失敗では?」


俺は、帳簿を指で叩く。


「失敗なら、

 数字は下がる」


《論点:

成果定義》


使者は、言葉を失った。



「だが、これは……」


「地味だ」


「ええ」


「評価できない」


「それでいい」



使者は、最後に聞いた。


「調査官は、

 何をしたのですか」


俺は、少し考え――

答えた。


「間違ったことを、しなかった」



夜。


丘に立ち、領地を見下ろす。


灯りは、少ない。


だが、昨日と同じ数だけ、灯っている。


《生活継続率:100%(継続)》


AIが、淡々と示す。


(……十分だ)


英雄はいない。

祝福もない。


それでも――

世界は、続いている。



俺は、背を向けた。


ここでの仕事は、

もう終わりに近い。


次に来る者は、

“変える人間”かもしれない。


だが、その前に――

壊れなかった。


それだけで、

この領地は、

未来に辿り着ける。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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