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異世界転生した俺は、AIで魔法の精度を極めて無双する  作者: 森永あおば


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第18話 最初に、何もしない

翌朝から、視線が増えた。


役所の職員。

市場の商人。

畑で働く農夫。


皆、同じ目をしている。


――いつ、何をするのか。



「調査官様」


役所の男が、恐る恐る切り出す。


「税についてですが……」


「触らない」


即答だった。


男が、言葉を詰まらせる。


「……上げも、下げも?」


「どちらもしない」


《税率変更:否》


AIが、淡々と記録する。



「では、公共事業は?」


「やらない」


「雇用が……」


「今は、動かさない」


沈黙。


空気が、重くなる。



「何もしない、ということですか」


ついに、誰かが言った。


「何もしない」


否定しない。


誤魔化さない。



外に出ると、

すでに噂は広がっていた。


「何もしてくれないらしい」

「期待外れだ」

「やっぱり捨てられた土地だ」


《住民感情:

不安/失望》


当然だ。


彼らは、

“何か”を待っている。



丘に立ち、領地を見下ろす。


畑はある。

家もある。

人も、まだいる。


だが、余力はない。


《余剰資源:極小》


(ここで動けば、

 必ず誰かが脱落する)


冒険者の時と、同じ判断だ。



夜。


帳簿を広げる。


税収。

人口。

流通。


どれも、悪い。


だが――

今日より悪くはなっていない。


《日次変動:

悪化なし》


それでいい。


今は。



数日後。


一人の商人が、領地を出ようとした。


馬車一台分。


止める理由は、ない。


だが――

引き止める施策も、打たない。


《介入:否》


結果、

商人は、戻ってきた。


「……外も、同じだった」


小さな変化。


だが、確かだ。



さらに数日。


市場は、相変わらず静かだ。


それでも、

閉じてはいない。


《市場存続:維持》


誰も評価しない成果。


だが――

消えていない。



役所の男が、再び来た。


「このままで……

 本当に、よいのでしょうか」


「良くはない」


俺は、はっきり言った。


「ただし、

 最悪ではない」


《判断基準:

最悪回避》



男は、納得していない。


当然だ。


英雄的ではない。

分かりやすくもない。


だが、

これ以上の一手は――

まだ、打てない。



夜。


窓の外。


誰かが、灯りを消した。

だが、別の家では、灯りが点いたままだ。


《生活継続率:100%(本日)》


AIが、静かに示す。


(……止まったな)


改善ではない。

回復でもない。


だが、

崩壊が止まった。



俺は、帳簿を閉じた。


最初にやるべきことは、

いつだって同じだ。


踏み込まない。

焦らない。

死なせない。


改革は、

生き残った後でいい。

ここまでご覧いただきありがとうございます。


あと数話で完結になります。


ブックマークをして、楽しみにお待ちいただけると嬉しいです。

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