表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生した俺は、AIで魔法の精度を極めて無双する  作者: 森永あおば


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/20

第17話 何もない領地

馬車を降りた瞬間、分かった。


ここは――

詰んでいる。


《初期評価:

人口減少/税収低下/物流停滞》


AIが、淡々と数値を並べる。


だが、数値を見る前から、空気が違った。


人が少ない。

声がない。

畑はあるが、手入れがされていない。


「……ここが、任地だ」


地方領地。

名前だけは、地図に残っている。



迎えに出てきたのは、初老の男だった。


「調査官様ですね」


腰が低い。

だが、期待はない。


それが、余計に分かりやすい。


「案内します」



役所と呼ぶには、あまりに小さい建物。


書類はある。

だが、整っていない。


「税帳簿はこちらです」


渡された紙束は、

年ごとに数字が落ちていた。


《税収推移:

右肩下がり/回復兆候なし》


(……止血が必要だ)


改革以前の問題だ。



「人は、どれくらいいる」


「把握できていません」


即答だった。


「出て行く者が多く……」


「生まれる者は」


「……少ないです」


《人口動態:

崩壊段階》


ダンジョンより、厄介だな。



「魔物被害は」


「あります」


「どの程度」


「……分かりません」


ここまで来ると、逆に冷静になれた。


冒険者の時と、同じだ。


情報がない場所は、

最も危険で、

最も判断しやすい。



俺は、椅子に座った。


「今すぐ変えることは、しない」


男が、少しだけ驚く。


「……よろしいのですか」


「まず、壊れている場所を確認する」


《方針設定:

即時改革:否

現状把握:最優先》


AIが、短く整理する。



外に出る。


市場――だった場所。


売り手が少ない。

買い手も、少ない。


《流通密度:低》


「交易は?」


「ほぼ、ありません」


「理由は」


「利益が出ないので……」


当たり前だ。


利益以前に、

循環が死んでいる。



夕方。


領地を一望できる丘に立つ。


広い。

だが、使われていない。


《可動資源:未活用率 高》


(……数字は、嘘をつかない)


ここは、

英雄を求めていない。


奇策も、求めていない。


必要なのは――

止めない判断だ。



夜。


仮の宿で、

俺は帳簿を広げる。


税。

人口。

流通。


AIが、次々に可視化する。


《優先課題:


流出停止


最低限の循環確保


情報更新》


冒険者の時と、同じだ。


無理をしない


踏み込まない


だが、見逃さない



「……できるな」


小さく、呟く。


ダンジョンなら、

撤退していた。


だが、ここは違う。


撤退すれば、

誰かが確実に死ぬ。


《判断:

継続介入》


AIが、初めて明確な肯定を示した。



窓の外。


静かな夜。


この領地に、

劇的な変化は起きない。


だが――

明日、誰かが出て行かないだけで、

それは成功だ。


俺は、帳簿を閉じた。


冒険者は、

世界を歩く仕事だった。


今は――

世界を、止めずに支える仕事だ。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ