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異世界転生した俺は、AIで魔法の精度を極めて無双する  作者: 森永あおば


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第16話 選別

場所は、ギルドの裏手だった。


酒場でも、執務室でもない。

記録倉庫の奥。


人が寄りつかない場所。


「ここで話す理由は?」


俺が聞くと、

男――国家関係者は答えた。


「記録に残らないからだ」


《会話秘匿度:高》


AIが、静かに示す。



「冒険者は、優秀だ」


男は言う。


「だが、優秀すぎる者は、困る」


「困る?」


「想定外の判断をする」


その言葉に、妙な納得があった。



「冒険者ギルドは、

 現場の処理装置だ」


男は続ける。


「死者が出る前提で回る」


「効率がいい」


「だが君は、

 死者を減らす方向に最適化している」


《評価:

管理不適合》


……なるほど。



「だから、選別する」


「誰を?」


「残す者と、

 立場を変える者を」


男は、羊皮紙を取り出した。


そこには、名前が並んでいる。


見覚えのあるものが、二つ。


俺と、ミラ。



「ミラは、残る」


「情報屋として?」


「いや」


男は、少しだけ言葉を選んだ。


「国家情報部の鑑定補助だ」


……やはり。



「彼女は、

 情報を出す/出さないを選べる」


「だから、管理しやすい」


男は、そう言い切った。


《評価基準:

予測可能性》



「君は、違う」


男の視線が、俺を射抜く。


「正しい情報を、

 必ず出す」


「それは、危険だ」


「誰にとって?」


「管理する側にとって、だ」



沈黙。


否定できない。



「君に、三つの選択肢がある」


男は、指を立てる。


「一つ。

 冒険者を続ける」


「その場合、

 依頼は減る。

 情報は、渡らない」


「干される、ということだな」


「穏便に言えば、そうだ」



「二つ。

 国家に来る」


「立場を与える。

 権限は、限定的だが」


「情報は、最上位が流れる」


「代わりに?」


「判断は、上に委ねる」


《自由度:低》


却下だ。



「三つ」


男は、最後の指を立てた。


「地方領地の調査官」


「表向きは、左遷だ」


「だが――」


彼は、言葉を切った。


「君一人で、

 判断していい」



……なるほど。


それは、

管理の外に置くということだ。



「領地は、どこだ」


俺は聞いた。


男は、地図を広げる。


国境に近い。

人が減っている。

税収が落ちている。


《状況評価:

崩壊予備軍》


「ここは、

 誰も正確に把握していない」


「把握できない場所は、

 放置される」


「だから、任せたい」



「失敗したら?」


「誰も困らない」


率直すぎる。


だが――

冒険者ギルドと、同じ論理だ。



「ミラには、伝えたのか」


男は、少しだけ間を置いた。


「彼女は、もう承諾した」


……そうか。



「君と彼女は、

 同じ場所には立てない」


「最初から、分かってた」


男は、頷いた。


「だから、

 この選択肢を用意した」



俺は、少しだけ考えた。


冒険者として、

できる最善は、もう尽くした。


次に必要なのは――

判断が遅れない立場。



「受ける」


即答だった。


男は、驚かない。


「条件は?」


「一つだけ」


俺は言った。


「現地判断に、口を出すな」


男は、少しだけ笑った。


「それが、

 君を選んだ理由だ」



書類は、簡素だった。


肩書きは、地味。


【地方領地調査官】


権限は、曖昧。


だが――

白紙に近い。


《自由裁量:高》


AIが、初めて明確な肯定を示した。



ギルドを出る。


空気が、違って感じられた。


冒険者としての時間は、

これで終わりだ。



宿に戻ると、

ミラから一通の手紙が届いていた。


短い。


「お互い、

立場が変わっただけよ」


「生きて」


それだけ。


俺は、紙を畳んだ。


返事は、書かなかった。



翌朝。


街を出る。


荷物は少ない。


向かう先は、

地図の端。


誰も期待していない場所。


だが――

判断を遅らせないためには、

 最適な場所だ。


《次段階:領地 移行》


AIが、静かに告げる。


冒険者は、

世界を歩く仕事だった。


次は――

世界を、止めずに回す仕事だ。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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