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異世界転生した俺は、AIで魔法の精度を極めて無双する  作者: 森永あおば


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第13話 情報の値段

ミラが、先に口を開いた。


「この依頼、受けない?」


差し出された羊皮紙には、

見慣れない印があった。


【非公開調査】

【依頼主:匿名】

【報酬:銀貨八十枚】

【条件:内容秘匿】


……高すぎる。


《報酬期待値:異常》

《情報公開制限:強》


AIが、即座に警告を出す。



「内容は?」


「まだ、全部は」


ミラは、視線を逸らさずに言った。


「でも、場所は分かってる。

 例の谷と、構造が似てる」


「ダンジョン外縁か」


「ええ」


「奥まで行く?」


ミラは、一拍置いた。


「行けるところまで」


その言い方が、引っかかった。



「情報は、どこまで出す?」


俺は、はっきり聞いた。


「ギルドには?」


「……必要な分だけ」


「必要って?」


ミラは、少しだけ眉を寄せる。


「全部出せば、

 誰かが死ぬかもしれない」


「出さなくても、死ぬ」


「それでも」


彼女は、静かに言った。


「出し方は、選べる」


《価値観差異:検出》


AIの表示が、短く出る。



現地。


谷の空気は、重かった。


鑑定反応が、断続的に乱れる。


「……やっぱり」


ミラが呟く。


「ここ、

 “何か”を隠してる」


「それを、誰かが知りたがっている」


「ええ」


「理由は?」


ミラは、答えなかった。



調査は、順調だった。


俺は地形を把握し、

危険域を塗り分ける。


ミラは鑑定で、

異常反応を拾う。


《マッピング:進行》

《危険色:橙→赤》


奥には、行かない。


それは、二人とも同じ判断だった。



帰路。


ミラが、ぽつりと言った。


「ねえ」


「何だ」


「もし、この情報を全部出したら」


「どうなる?」


「誰かが、踏み込む」


「……死ぬ?」


「高確率で」


ミラは、歩みを止めた。


「それでも、

 全部出す?」



俺は、即答した。


「出す」


ミラが、わずかに目を見開く。


「判断材料は、多い方がいい」


「でも――」


「死ぬかどうかを決めるのは、

 俺たちじゃない」


《意思決定:確定》



ギルド。


報告書を、提出する。


地形。

歪み。

危険域。


ミラは、一部の鑑定結果を――

書かなかった。


俺は、気づいた。


だが、何も言わなかった。


《情報欠落:意図的》


AIが、静かに記録する。



受付の男が、紙を見て言った。


「……これで全部か?」


ミラが答える。


「現時点では」


男は、深く追及しなかった。


銀貨八十枚。


机に置かれる。


重い。



外に出た後、

俺は立ち止まった。


「次は、組まない」


ミラが、先に言った。


「……理由は?」


「あなたは、

 正しすぎる」


それは、非難ではなかった。


「私は、

 情報で生きてる」


「だから、

 出し方を選ぶ」


「それが、君のやり方か」


「ええ」



「俺は」


俺は、短く言った。


「判断を、隠さない」


ミラは、少しだけ笑った。


「知ってる」



沈黙。


別れではない。

だが――

同じ場所には立てない。


「気をつけて」


ミラが言う。


「あなたみたいな人は、

 上に行くと、

 嫌われる」


「慣れてる」



その夜。


宿で、俺は一人考える。


情報は、

守るためにも、

殺すためにも使える。


《新認識:

情報=武器》


AIが、静かに更新する。


冒険者として、

できることは、もう限られている。


正しい情報を出せば、

誰かが死ぬ。


隠せば、

別の誰かが死ぬ。


(……選べない)


なら――

選ばされる立場を、変えるしかない。


それは、

冒険者の仕事じゃない。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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