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異世界転生した俺は、AIで魔法の精度を極めて無双する  作者: 森永あおば


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第11話 鑑定士ミラ

調査依頼の翌日、

ギルドの空気が、わずかに変わっていた。


依頼札の前に立つ冒険者たちが、

俺を見る。


視線は、好意でも敵意でもない。


《評価変化:

無関心 → 要注意》


……面倒な段階に入ったらしい。



「レイ」


受付の男が、珍しく名を呼んだ。


「奥に来い」


奥――

ギルドの事務区画。


Fランクが呼ばれる場所じゃない。



小部屋には、女が一人いた。


年は、二十代半ば。

簡素な服装。

だが、目だけが異様に鋭い。


机の上には、羊皮紙と魔導具。


「あなたが、例の調査報告を書いた人?」


「例の、が何を指すかによる」


女は、口元だけで笑った。


「減額されなかった調査依頼。

 帰還率一割の谷」


《人物解析:

職能者/鑑定系》


AIが、短く示す。



「ミラよ」


彼女は名乗った。


「鑑定士。

 あと、情報屋」


「兼業か」


「正確には、

 鑑定できるから、情報を扱える」


なるほど。



ミラは、俺の報告書を机に広げた。


「これ」


指で叩く。


「嘘がない。

 誇張もない。

 しかも、判断理由が全部書いてある」


「事実を書いただけだ」


「それができない人が多いの」


《虚偽率:0%》

《情報信頼度:高》


AIの表示に、ミラが一瞬だけ視線を向けた。


……気づいた?



「聞きたいことがある」


ミラは言った。


「どうして、奥に行かなかった?」


「危険だった」


「それだけ?」


「それ以上、行く意味がなかった」


ミラは、少しだけ目を細めた。


「普通は逆よ。

 危険でも、行く」


「普通じゃない」


「ええ」


彼女は、はっきり言った。


「だから、価値がある」



ミラは、別の羊皮紙を出した。


「仕事の話」


「依頼か」


「共同」


内容は、こうだ。


ダンジョン外縁の調査


鑑定はミラ担当


判断と撤退は俺


報酬欄。


【銀貨三十枚】


分配、ではない。


《単独支給:双方》


「高いな」


「情報は、命より安いと思われがちだけど」


ミラは肩をすくめた。


「正確な情報は、戦争一回分の価値がある」



「条件がある」


ミラは続けた。


「無理をしないこと」


「一致してる」


「死なないこと」


「同上」


彼女は、満足そうに頷いた。



現地。


前回とは別の地点。


ミラが、魔導具を起動する。


「鑑定開始」


《鑑定反応:多数》

《真偽判定:混在》


「……やっぱりね」


ミラは、眉をひそめる。


「この辺、

 鑑定結果が安定しない」


「空間が歪んでいる」


「分かる?」


「体感で」


AIが、内部で警告を出す。


《空間変動:継続》



二人で進む。


俺は前。

ミラは後ろ。


「止まって」


彼女が言う。


「今の反応、

 罠じゃない。

 誤検知」


「鑑定が騙されてる」


「ええ」


ミラは、舌打ちした。


「嫌な場所」



奥へは、行かない。


二人とも、同じ判断だった。


「今日は、ここまで」


ミラが言う。


「十分だ」


帰路。


ミラが、ぽつりと言った。


「ねえ」


「何だ」


「あなた、

 世界を“数字”で見てる?」


一瞬、間が空いた。


《応答選択:注意》


「結果を、数で整理してるだけだ」


嘘ではない。


ミラは、それ以上踏み込まなかった。


「いいわ」


「深入りはしない」


それが、彼女の流儀らしい。



ギルド。


報告。


ミラの鑑定結果と、

俺の地形判断が、噛み合う。


「……助かる」


受付の男が、素直に言った。


銀貨三十枚。


机に置かれる。


重い。


《収支:安定増加》



外に出ると、

ミラが足を止めた。


「しばらく、組まない?」


「理由は」


「あなたといると、

 情報が壊れない」


それは、最高の評価だった。



夜。


宿で、俺は考える。


ミラは、鑑定士。

情報屋。


つまり――

世界を“値段”で見る人間。


《新要素:

情報の市場価値》


AIが、静かにログを残す。


(……次の段階だな)


討伐でも、踏破でもない。


世界を、持ち帰る仕事。


冒険者という立場で、

できることは、もう見えてきた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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