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異世界転生した俺は、AIで魔法の精度を極めて無双する  作者: 森永あおば


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第1話 転生者は、静かに計算する

魔法の威力がすべてを決める世界で、

俺は「当てること」だけを選んだ。


異世界に転生した少年レイは、

なぜか頭の中に“数値で世界を解析するAI”を宿していた。


魔力量は平均以下。

派手さもない。

だが――

魔法の精度だけは、異常だった。


王立魔法学園では、

威力至上主義の評価制度の中で「実戦不向き」と切り捨てられ、

親友を理不尽な事故で失う。


生き残るために学園を去ったレイは、冒険者となり、

鑑定・地形把握・ダンジョン解析・魔力管理で頭角を現していく。


やがて領地運営、国家運営へと関わり、

世界を管理する“神”の正体に辿り着いたとき――

AIは、単なる補助知性ではなくなる。


これは、

派手な力を持たない男が、

最適解だけを積み上げて世界の上位概念に辿り着く物語。

生まれ変わったと自覚した瞬間、

俺は泣きもしなければ、叫びもしなかった。


理由は単純だ。

――それどころではなかった。


視界の端に、見慣れない数字が浮かんでいたからだ。


《魔力循環率:42.8%》

《神経同調誤差:+18.1%》

《身体年齢:15.2》


……なんだ、これ。


文字は空中に固定され、瞬きをしても消えない。

だが、不思議と恐怖はなかった。


むしろ、理解できる気がした。


(ああ、これ……“補助”だ)


名前も、声も、人格もない。

ただ淡々と、現状を数値で示してくる“何か”。


俺はそれを、心の中でそう呼んだ。


――AI。



場所は、王立魔法学園の入学式だった。


石造りの大講堂。

天井には光を集める魔法陣が張られ、昼間でも星空のように輝いている。


周囲を見渡せば、豪奢なローブに身を包んだ貴族の子弟。

魔力に満ちた空気に、誰もが誇らしげな顔をしていた。


その中で、俺だけが浮いている。


粗末な制服。

魔力測定前から、値踏みするような視線。


――貧民街出身。

それが、この場ではすでに「減点」だった。



「次、レイ・アルトナー」


名前を呼ばれ、前に出る。


水晶球に手を置くと、魔力が数値化されて表示された。


《魔力量:平均以下》


講堂が、わずかにざわつく。


「ふん……」

「やっぱりな」

「入学枠の無駄だろ」


予想通りの反応だ。


だが、その瞬間――


《詠唱安定度:92.4%》

《魔力制御精度:上位3%相当》


……なるほど。


俺は内心で、静かに納得した。


(威力はない。

 でも、外さない)


それだけだ。


教師は眉をひそめ、一言だけ告げた。


「……次」


評価はそれで終わりだった。



席に戻る途中、背後から声をかけられる。


「なあ、お前」


振り返ると、短髪で人懐っこそうな少年が立っていた。


「俺、カイル。剣士科だ」


剣士科。

つまり、魔法が使えない側。


この学園では、半端者扱いされる立場だ。


「……レイ」


名乗ると、カイルは笑った。


「よろしくな。

 さっきの測定、悪くなかったと思うぜ」


俺は一瞬、言葉に詰まった。


(今のを“悪くない”と言うやつがいるのか)


AIが、淡々と数値を更新する。


《対人評価:敵意なし》

《信頼形成確率:67.2%》


……妙な感覚だった。


この世界に来てから初めて、

計算ではない温度を感じた気がした。



講堂の最前列。

そこだけ、空気が違う。


青銀の髪を揺らし、悠然と立つ少女。

魔力量測定で、明らかに異常な数値を叩き出した存在。


エリナ・フェルシュタイン。


周囲が息を呑み、教師すら声を失うほどの“天才”。


彼女は一瞬だけ、こちらを見た。


いや、正確には――

俺の数値が表示されていた水晶球を。


興味は、すぐに失われた。


視線が外れる。


《観測:無関心》

《相互干渉:発生せず》


それでいい。


今は、まだ。



入学式が終わり、廊下を歩きながら、俺は心の中で問いかける。


(お前は、何者だ)


返答はない。

代わりに、数値が浮かぶ。


《質問:定義不足》

《提案:観測を継続》


……相変わらず、愛想がない。


だが、悪くはなかった。


感情も、期待も、裏切りもない。

ただ現実を、正確に示す存在。


(それで十分だ)


俺は、静かに前を見据える。


この世界は、

才能と血筋と神話で回っているらしい。


だが――


精度なら、

計算なら、

積み上げなら。


まだ、勝負は終わっていない。


AIの数値が、微かに変動した。


《目標未設定》

《学習フェーズ:開始》


俺は笑わない。

叫びもしない。


ただ、静かに計算を始めた。


――ここから先を、生き残るために。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


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