なかよく
第2話です!
ある日、慎二くんに「明日暇?」と言われた。
「暇だけど何かあるの?」
私はわくわくしながら言った。
「明日、俺の友達と一緒に出かけるけれどたな……結月は行く?」
私はとても驚き、言葉が出なかった。何がって?急に推しに誘われたからだ。
私は目を輝かせながら「え? 良いの?! 行きたい!」と言った。
「じゃあ七人で決まりか」
そうか。慎二くんには五人の友達がいたんだ。
話せるか不安だったが、慎二くんに誘われたから嬉しかった。
今日は、慎二くんと私を合わせて七人で出かける。
人見知りで話せるかな。私の心の中はわくわくと不安の気持ちでいっぱいだった。
「暑いなぁー」
慎二くんの友達、光くんが手で顔を仰ぎながら言う。
今は秋。夏のような暑さだ。
「あ、ねぇ、田中さん。好きなタイプは?」と光くんが聞いてきた。
何も話すことがなかったのだろう。
だけど「慎二くん」とは言えない。
どう答えようかと迷っていた時、光くんの隣にいた淳司くんが「答えなくていいぞ」と言った。
だけど、折角私に話しかけてくれたのだから、と思い控えめに「優しい人かな?」と答えた。
「ふーん」
その後、みんなで買い物をして解散した。
慎二くんと二人きりになった時「楽しかった?」と言われた。
「うん。すごく楽しかった」
あ、そうだ。戻る前にこれたけは言っておきたかった事があったんだ。
私は改まった口で「あ、あの、私、三次元から来て……元の世界では中学生なんだ」と隠していた事を言った。
「そっか」慎二くんは茜色に染まった空を見上げ、ただそれだけしか言わなかった。
気がつくと茶色い屋根の家家が見えた。
「じゃあ、またね」
私たちは別れた。
私たちは幼少期のことまで話したり、秘密など話したりした。
ある日の朝、丁度前出かけた五人に会った。
みんなと他愛もない話をしながら学校に向かった。
話していると学校に着いた。
私は「みんなと話しながら学校に行くと早く感じるね」と言った。
「そうだな」と慎二くんが言った。
慎二くんは何か言いたそうにしていた。
授業が始まる前「ノート、見せてくれない?」と慎二くんに言われた。
「うん、良いよ」と私はノートを渡した。
授業中、慎二くんは私の肩をつんつんと触った。
「?」私は首を傾げた。
「ごめん。遅くなって」と慎二くんが小声でノートを渡しながら言った。
「あっ、ノート」と私はボソッと呟いた。
貸していた事をすっかり忘れていた。
「うんん。大丈夫。課題やってこないって珍しいね」と私も小声で話した。
「忙しかったんだ」
すると「田中、作山」と先生に注意された。
私達は目を合わせ、くすっと笑い合った。
こんな時間がずっと続けばいいのに。
授業後、ノートを開けると
『ノート貸してくれてありがとう。話したいことがあるから休み時間、俺の席に来てくれない?』
と書いてあった。
文章通り、私は慎二くんの席に行った。
「ちょっとここ、人が多いから移動しよう」
私は腕を掴まれた。みんなは私達を見ていた。
「告る?」
みんなが騒いだ。
「ちょ、ちょっと、みんな見てたよ」と慌てた様子で私は言った。
「大丈夫」と慎二くんが言った。
やって来たのはあまり使われていない階段の踊り場だった。
「あの、結月は三次元から来たんだよな。だから、俺を忘れないようにこれを作ったんだ。受け取って」
……忘れないように?
渡されたのはお守りだった。
「ありがとう。あ、そうだ! 私にもあるんだ。これ、受け取って」
丁度渡そうと思ったシャーペンとお守りがあった。
「被っちゃったね」
私と慎二くんは笑いながら教室に戻った。
第3話もよろしくお願いします!