98/132 (1/6)
僕がイコルの力を開放し銀の鎧を纏うと、ロダはこちらに向かって大きく一歩踏み込んだ。彼が剣を振るい僕はそれを受けようとしたが、しかしその攻撃は僕の剣をすり抜けて鎧の丁度関節部分をかすめていく。そこから更に数回攻防が行われたが、僕の剣は一度も当たらず、彼の剣だけが僕に当たった。
少ししてロダは距離を置き、呼吸を整える。
「鎧が固いのかと思ったけど、違うみたいだね……。君自身の体にさえ剣が通らない」
「ああ、うん……」
「僕の攻撃だけ当たるのが不思議かい?今のは影抜きっていう技術で……」
「いや、そうじゃなくて……。もっと本気で来てほしい。僕に小技は効かないよ」
「なっ……。そうか、そうだね……」
ロダの目つきが変わった。彼の持つ剣に気力が宿り、その刃が輝きを放つ。次の瞬間、ロダは目の前から姿を消し、凄まじい勢いで無数の斬撃が放たれた。僕は勢いに押され僅かに後退したが、床に血を流して増幅し沼を作ると、彼の足を捕らえたのを見て一気に血を硬化する。彼の動きを封じてからよく狙いを定め、僕は血を一列に並べていった。ロダは血の列をかろうじて剣で弾いたが、何度も同じ攻撃を繰り返すとその幾つかは彼の体をかすめていく。僕はゆっくりと彼に近づき、そして銀の剣を横に一振り。ロダは身動きが取れずこれを剣で防いだが、僕は血でもう一つの鎧を形成して剣を持たせ、その鎧が無防備なロダに斬りかかった。その瞬間、ロダは声を上げて剣を翻し、僕の持っていた剣が弾き飛ばされた。更にもう一つの鎧の攻撃さえも受け流し、驚異的な剣の振りを見せ攻撃に転じる。しかし彼の斬撃を何度受けても僕がダメージを受けることは無かった。やがて彼は息を切らし呼吸のタイミングが訪れ、僕はそこで再び生成した剣で彼の肩を、もう一つの鎧は彼の動かない足を、同時に狙って剣を振った。ロダは肩への攻撃を受けとめ、足には剣が突き刺さる。痛みに彼の表情が歪み、続けてもう一度同じように攻撃すると、今度は僕の剣が彼の胴体を貫いた。ロダは呻き声を上げて口から血を吐き出す。
僕はため息を吐いて彼に言葉をかけた。
「だから、本気で来てよ……。君は最年少の席持ちで、天才で、剣帝なんだろ……?その実力を僕に見せてよ……」
「うっ……くそ……」
「君を殺したくないんだ……。何が言いたいか、分かるだろ……。もしその程度の力しかないなら、僕の前に立つなよ……!」
僕は彼の体から剣を抜くと、全ての武装を解除しもう一つの鎧も崩した。そして床の血を溶かすと、ロダは傷口を抑えてその場に膝をつく。彼は何度か血を吐きながらも再び立ち上がろうとしていて、その姿を尻目に僕は統括を追った。
「あ、アラン……待てよ……」
ロダの言葉に僕は立ち止まった。彼の表情を見ると、確かにまだ闘志は消えていないようだ。
「まだ戦える……。だから、まだ相手をしてくれないか……」
「君を殺したくない」
「大丈夫さ……。僕が勝つから……。君を倒して、王都を守るんだ……」
ロダは剣を床に突き立ててどうにか立ち上がり、それを見て僕は再び床の血を固めた。ロダは急いで剣を振り上げようとしたが、既に剣は床に固定されており叶わない。
僕は彼に近づき銀の剣を素早く振り上げた。ロダは咄嗟に回避しようとしたが、床の血に足をとられ体制を崩すと、銀の剣は彼の利き腕に命中しその腕を斬り落としていく。皇国の騎士はブラッドと違い傷を再生はできない。彼は僕に敗北しただけでなく、剣士としての未来も今ここで絶たれたのだ。




