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後日、皇女は僕とジークを城の一室に呼んだ。
「ギルドを創設することになったわ。まずはこの三人でやっていくわよ」
皇女はテーブルに依頼書を並べていき、僕はジークと顔を見合わせる。
「ジークには事務手続き全般をやってもらうわ。届いた依頼書を重要度別に整理して、アランにその日こなすべき依頼を伝えてあげて。私は統括や席持ちの騎士たちとの交渉役になるわ。既にアランの活躍に目を付けている騎士もいるみたいだから、そういう人たちと積極的に話して良い関係を築いていきたいわね」
「えっと……随分話が進みましたね」
「ええ、これもアランのおかげね。私の使いがAランクを一人で討伐したって、今皇国内で凄く話題になってるんだから。この調子でどんどん影響力を広げていくわよ」
「はい、分かりました……」
「浮かない顔ね。自分の立場が気になる?」
「そですね、少し……。一つだけ、頼みたいことがあるのですが……」
「何かしら」
「ブラッドに文書を送りたいのです。可能な範囲で現状を伝えたくて……」
皇女は教団の力を開放すると、少しの間僕の顔を見つめた。それから笑顔で頷く。
「ええ、いいわよ。内容は私も目を通すけれど、それでも大丈夫かしら?」
「もちろんです。ありがとうございます」
翌日から皇女により創設されたギルドが正式に始動した。初日から皇女は城に皇国騎士第十二席を招き、今後の体制について話し合いの場を設けた。
その男は城内応接室に入ると、僕に笑顔で握手を求めた。
「君がアランだね。よろしく」
彼が皇国騎士第十二席、剣帝ロダ。事前に話は聞いていたが、僕と同い年の若い剣士だ。史上最年少で席が与えられた天才らしいが、現在の序列では席持ちの中で最下位の十二番目となっている。
僕は彼の手を握り返した。
「はい、こちらこそ。シルヴィア様から話は聞いています」
「変にかしこまらなくていいよ。同い年だと聞いてる。楽にいこう」
「ああ……うん、そうだね」
「君の活躍が今そこら中で話題になってるね。Aランクを一人で討伐したって?凄い功績だ」
「君の方こそ、最年少で席が与えられた天才だって聞いてるよ。ブラッドでは僕も剣の腕に自信があった方だけど、君の前じゃ言えないね」
「ははは、良かった。いい関係が築けそうだ。僕は席持ちの中じゃ最下位で、基本的に第五席の下について動いてるから、馬鹿にされることも多くてね」
「第五席の下に……?その地位で人の下につくなんて……恐ろしい人だね。どれだけ上を目指しているのか想像もつかないよ」
「そうか、なるほど。君は僕を評価する側の人間か。統括と同じ思考が見える。恐ろしいのはお互い様かもしれないね。さて……ではシルヴィア様、本題に入りましょう」
皇女は頷き、今後の協力関係について話を始めた。
聞いていたところ、ロダは完全に第五席の部下として来ており、彼自身は部隊を率いていないようだ。つまり、ロダは第五席の率いる部隊の一員に過ぎないことになる。序列最下位であることを考えれば仕方ないことなのかもしれないが、僕には彼が背負う剣帝の称号さえ霞んで見えた。




