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僕は皇女に連れられ皇国首都にある城へと入った。そのまま皇女の寝室まで通され、ジークは部屋の外で待つよう指示を受けた。他勢力の男と寝室で二人、異常な状況に思えたが、ジークは特に何も言わず皇女の指示に従った。
皇女はベッドに座ると、教団の力を開放し片眼鏡をかけた状態で口を開く。彼女の前で嘘はつけないようだ。
「貴方はこれから私の指示で動いてもらうわ。私が個人的に所有する騎士ってことになるわね」
「個人的に、ですか……」
「ええ。そういう形でしか戦力を側に置けないの。ここへ来るまでにもう勘付いてるとは思うけれど、皇国の中での私の立場はそこまで高くない。実際の権力者は全ギルド統括のギルバードという男。皇国内のほとんどの戦力が彼の元で動いていると言ってもいい。だから……ふふっ、貴方、緊張してる?」
「いえ、すみません……」
「だからね、私のことは友達のように思ってもらって構わないわ。貴方を必要以上に拘束する気はないし、基本的には私の護衛やジークの手伝いをしてもらうだけ。場合によっては魔物討伐へ行ってもらうこともあるかもしれないけれど、それくらいかしら」
「分かりました。では、何とお呼びすれば?」
「シルヴィアでいいわ。他に何か聞いておきたいことはある?」
「では……皇女の立場がそれほど高くないのは何故ですか?」
「一言で言えば、伝統になるわね……。昔から皇国にとっての王は飾りよ。もし私が暗殺されても皇国には何のダメージもないでしょうね。寧ろ勢力間の会談でネタにできて喜ばれるかもしれないわ。母が亡くなったときだって……いえ、ごめんなさい」
「色々な想いがあるのですね……。それで自国の戦闘員を側に置けず、他勢力の人間に依頼を出したと……」
「ええ、そういうこと。でも、私の行動なんて全部ギルドに漏れていると思うわ。私の能力があれば間違って危険人物を皇国へ招いてしまうことはないから、気づいていて黙認されているのでしょうね」
「そうですか……。なんだか複雑ですね……」
「私は貴方を使ってギルドに申し立てをしようと思ってる。王の権限を広げたいの。私の元に一つ部隊を置けるくらいにはね」
「はい、僕にできることがあれば何でも言ってください」
「よろしく頼むわ。できれば貴方の凡その実力を知っておきたいのだけど……さっきの、パールとカオスの反応からして相当の実力者よね?もしかして、席のある騎士相手でも戦えたりする?」
「そ、それは……厳しいかと……」
「謙遜ね。何席までなら戦えそう?十席?」
「いえ、そんな……」
「じゃあ、五席?」
「いえ、流石に五席は……。あの、能力で見通さないでください。あまり期待されても応えられませんから……」
「ふふっ、別にこの能力がなくても分かるわ。顔や口調に出てるもの。貴方を雇えて本当によかった……いえ、出会えたことに感謝すべきね」




