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後日、二番街の僕の家を部隊の案内人ステラが訪問してきた。彼女は部屋に入ると、悲し気な表情で口を開く。
「昨日、統括から連絡がありました。アランさんが暫く街を離れると……。やっぱりアランさんは、ルインブラッドの所属だったのですね。色々おかしいとは思っていました」
「は、はい……。統括から聞いたんですね……」
「全ては教えて頂けませんでした。それでも、ブラッドという勢力にとってアランさんがどれほど重要な方であるかは理解できました。今こうして話していることが、なんだか信じられないくらいです」
「いえ、そんな……」
「これからの依頼は大変かと思いますが、頑張ってください。私はこの街で貴方の帰りを待っています」
「ありがとうございます。必ず帰ってきます」
ステラと話しているとドアを叩く音が聞こえ、開けるとすぐそこにカナデが立っていた。
話を聞いていたのだろうか、彼女は寂しそうな表情で俯いている。
「カナデさん?」
「すみません、まだお話し中でしたか?」
僕がステラの方を見ると、彼女は何かを察したように部屋を出た。それからカナデに向かって口を開く。
「アランさんのお部屋ですが、これからも継続して契約をお願いします。彼が帰ってくるまで、今後も我々が料金をお支払いしますので」
「あっ……はい……」
「それでは、失礼致します」
ステラが去り、入れ替わるようにカナデが部屋に入った。僕は彼女にも事情を伝える。
「聞こえていたかもしれませんが、少しの間街を離れることになりました。帰ってきたら、またお店を手伝わせてください。僕にはそれくらいしかできませんが……」
「私……アランさんのこと、本当に何も知らなかったんですね……。アランさんの周りにはとても多くの方が居て、アランさんのことをサポートしていて……きっと先ほどの方も、お姉ちゃんも、私の知らないアランさんの一面をたくさん知っていて……。そんな人たちでさえ、アランさんの全てを理解しているわけじゃないんですよね……」
「……そうかもしれません」
「お姉ちゃんがよくアランさんの話をするんですけど、私はそれを聞くのが好きでした。でも、聞けば聞くほどアランさんのことがよく分からなくなってきて……。だからこそ、ずっとアランさんへの興味は絶えなかったのですが……今は、私のこの気持ちがどれほど身の程知らずか、思い知ったような気分です」
「そうですか……それは、すみませんでした……」
「謝らないで下さい。私の方こそ、最後にこんな話をしてしまってすみません……。私には応援くらいしかできませんが、頑張ってくださいね」
「ありがとうございます。では、行ってきます」




