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女王の束ねた混沌  作者: GGGolem
9/15 仮面
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 後日、僕は統括に呼ばれルインブラッド拠点へと向かった。統括は険しい表情で口を開く。


「またゼノに二人やられた。一人が死んで……もう一人、アヤが重傷を負った」


「アヤさんが……!?容体は……」


「シルベに見てもらっているが、赤髪よりも深刻らしい。ブラッドの血が無い分、傷が再生しねえからな……」


「そうですか……」


「だが、代わりに奴の凡その居場所が割れた。これから向かおうと思うが、アラン、お前に同行を頼みたい」


「分かりました。いつでも大丈夫です」


「よし。これ以上奴の好きにはさせねえ。確実に仕留めるぞ」




 統括と二人でその場所へ向かうと、僕たちはすぐに襲撃に遭った。その男は第二期教団の力を開放しており、凄まじい速度で攻撃を仕掛けてきた。僕は出血と同時に血を硬化することで軽傷ですませたが、統括は片腕を落とされている。いや、片腕で済ませたというべきだろう。


 統括は教団の力を開放すると、その能力で斬られた腕が再生し、更に腕全体が甲殻で覆われていく。彼が宿す能力も第二期のものだ。


「大丈夫ですか?」


「問題ねえ。あいつ……何してる?」


「え……?」


 ゼノは追撃せず停止してこちらの様子を伺っていた。顔を仮面で隠し、長い髪を後ろで縛った男だ。四肢は赤い毛に覆われており尻尾まで生えているが、強靭な体格も含め開放された教団の力故のものだろう。


 相手を選んでいるのか……?赤髪とアヤさんが殺されなかったことにも、何か理由があるかもしれない。


 統括は血から剣を生成し構えるが、何かに気付いた様子で口を開く。


「待て、あいつ……。いや、今更関係ねえ!」


 統括は一気に仮面の男との距離を詰め血の剣を振ったが、彼の剣を僕が阻んだ。仮面の男……いや、男ではない。彼女は女性だ。


 統括は僕を睨みつける。


「おい、アラン……なんの冗談だ……?」


「僕がやります」


「なんだと……?」


「僕に任せてください。お願いします」


 統括は一度大きくため息を吐き、そして剣を下げる。


「信じるぞ」


「はい、ありがとうございます」


 統括がその場を去るまで、赤毛の彼女は何もせずこちらを見ていた。


 僕は銀の鎧を纏い、銀の剣を手に彼女に向き直る。僕が剣を構えると、すぐに向こうから攻撃を仕掛けてきた。彼女は高速で僕に接近し両手の鉤爪を振るう。僕はあえて剣で防がず鎧で受けたが、少し傷がつく程度で済んだ。素早い攻撃だが力はあまりない。相手の攻撃を見極めて剣を上手く合わせると、彼女の片手の爪が折れ、その断片が地面に刺さった。すかさず剣を振り彼女の顔を覆うその仮面を弾き飛ばす。そして追撃のために剣を振りかぶり、しかし剣を振らずに腕を降ろした。大きく隙を晒す僕に、今度は相手が僕の仮面を弾き飛ばし、続けて僕の手元に鉤爪を振り下ろし剣を手から叩き落とした。


「真面目にやってよ……」


 彼女、アイカの言葉に僕はその場に両膝を着く。


「なんで……。斬れるわけないだろ……」


「馬鹿じゃないの?私はあんたの敵。こっちはもう覚悟決めてるんだから」


「敵か味方かなんて関係ない……。それ以前に、君は僕の妹だ……」


「何よそれ……。別に、本当の家族ってわけでもないでしょ……」


「家族だよ……。君が本気でも、僕は戦えない……」


「はぁ……。私だって、最初はあんたが心配だったよ。異形の研究について、ゼノさんから聞いたときはね」


「ゼノ……その力も、受け継いだんだね……」


「うん。私はこの力でルインブラッドと戦う。そして異形の研究を潰すの。それに加担する人間も、全員この手で殺さなきゃいけない」


「どうして……」


「分からないの?その研究でどれほどの人間が犠牲になったと思ってるの?」


「確かに、後遺症に悩む人はいるかもしれない……。でも、それで死ぬわけじゃない」


「死ぬんだよ。ゼノさんはこの前四十過ぎで死んだ。彼の症状が酷かったのもあるけど……研究対象になった人間は、生きている限り少なからず体を蝕まれる」


「で、でも……研究はもう完成してる。これ以上犠牲は出ない」


「は?だったらI地区の件は何?完成したのか知らないけど、研究は寧ろ加速してるんじゃないの?」


「それは……確かに……。統括は、何を考えて……」


「これから犠牲はどんどん増える。I地区で起きた感染症が広がって、一つ前の時代、異形に怯える時代に戻る。その未来を変えるには、今ルインブラッドを潰すしかない」


 アイカは僕に手を差し伸べ、そして真剣な表情のまま言った。


「私と戦う気がないなら、ルインブラッドの拠点を教えて。私の意見に賛同してくれるなら、私と一緒にそこで暴れて」


「少しだけ時間が欲しい……。自分の考えを整理したいんだ……」


 暫くの間悩んだ後、僕は彼女の手を握り返した。彼女の考えに賛同し、これから二人でルインブラッドへと向かう。

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