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時が経ち翌年のある日、僕はナギサとナナミの三人で魔物の討伐依頼を受けていた。無事に依頼を完了した帰り、街を歩いていた際に違和感を感じ、口元を拭うと服の袖にべったりと血が付着した。それを見て少し気分も悪くなりその場に膝を着くと、ナナミが異変に気付きこちらに振り向く。
「アラン?えっ、何!?どうしたの!?」
「え……ああ……なんだろう……」
「す、凄い血……!いや、血っていうか……えっ、何これ!?ちょっと、ナギサ!人呼んできて!」
ナギサは急いで街の部隊拠点へ向かい、僕は徐々に思考が回らなくなり暫くして意識を失った。
目を覚ますと側にはステラの姿があった。ここは二番街の酒場、従業員控室のようだ。彼女は心配そうに僕を見ている。
「あっ、大丈夫ですか?暫くは横になっていてくださいね」
「はい……。僕は、どうしたんでしょうか……」
「えっと、私には何とも……。先ほど統括にも連絡を入れてみたのですが、すぐに迎えが来るそうです。統括の元で詳しく検査するとのことで……。あ、でも目の色は少しよくなりましたね」
「目の色……?」
「はい。ここへ運ばれてきたときは黒く変色していましたから。本当にびっくりしました。何かの病かもしれませんね」
「病……」
「体調が戻るまではゆっくり休んできてください」
ある種の病のようなものだ。いつか女王の言った言葉を思い返した。もしかしたら僕の体は、何かの実験体にされているのかもしれない。シルベの研究は不死の浄血に関するものだと思っていたが、異形の血も関わっている可能性がある。
僕はルインブラッド研究施設に運ばれ、シルベに体を調べてもらった。結果としては異常なし。体調も数日で元に戻った。
僕は研究施設の一室でシルベに尋ねる。
「僕の体に何をしたの?」
「何って、血の調整だけど……。今回は突然症状が出て驚かせちゃったかな。でも、ようやく完成したみたいだから」
「完成って、何が……?」
「もう黙ってる意味もないかな……。私の研究はね、異形の血に不死の浄血を合わせることで人体に適合させるのが目的だったの。アラン君は今、異形の毒を克服したんだよ」
「そう、なんだ……。やっぱり僕は、君の実験体にされていたんだね……」
「ふふっ、変な言い方しないでよ。危険なことは何もしてないから」
「い、いや……だって、そもそも異形の血自体が危険な筈で……それを人体に適合なんて……」
「だから、その危険を取り除くのが私の研究ってこと。そもそもアラン君の体は、ここへ来たときからもうおかしかったよ?」
「それは、僕が教団の力を二つ持っているから……。そうか、教団の力……」
「どうしたの?」
「もしかして……ルインブラッドは、初めからそのための施設だったの……?」
「そうだと思うよ。その辺は統括の方が詳しいだろうけど」
「分かった……じゃあ、今から全部聞いてくる」
僕はそう言って立ち上がり、研究施設を出た。




