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目の前でルークが倒れていて、僕は膝を着いて片目と脇腹を抑えながらそれを眺めていた。少しして彼の体が僅かに動いて、それから四肢に力がこもるのが分かった。彼は口から血を吐きながら力なく立ち上がり、それを見て僕もふらふらと立ち上がる。
照準が、僅かに外れた……。直前で片目を潰されたからか、ほんの僅か、距離を誤った……。
ルークは両拳を合わせ大きく息を吸い込むと、一度天に向かって吼えた。そして僕に向き直り再び拳を構える。
「行くぞ……!アラン……!」
彼はもう対等の強者として僕を見ている。そこには一切の油断も余裕もない。
僕は意識が朦朧とする中、血の剣を生成しそれをゆっくりと上段に構える。
殺生の域は超えた。二人共が生き残った。そしてこれから、勝者を決める。
「来い、ルーク……!」
ルークが地面を蹴ってこちらへ向かってくる。スピードは無いが、途中で僅かに左へ回った。潰された方の目、死角を狙っているのは分かるが、咄嗟に上手く対処はできない。彼の振るう拳に剣を合わせようとしたが、僕の剣は空を切り彼の拳は僕の頭部の兜に直撃する。兜にはひびが入り、僕が僅かに体制を崩すと、そこへ追撃の蹴りが放たれ、しかし今度は剣を合わせることができた。彼の蹴りを受け止め、押し返す。更に踏み込んで剣を振り下ろしたが、これを紙一重で避けられ、ルークは遠心力を乗せて裏拳を振り回した。その拳が手元に当たり剣が手を離れると、すぐに腕を十字に構えることで直後の前蹴りを受け止める。そこからのルークの連撃で血の鎧は次第に崩壊していき、途中で僕は鎧を捨て流血操作で体から直接血の刃を放つと、彼の不意を突くことができた。ルークの体に血の刃が突き刺さり、刺さった刃を操作することで剣に変形させる。その柄を握り上へ振り上げようとしたが、力が足りず力んだ彼の肉体を切り裂くことができない。ルークは体に突き刺さった剣を握りしめ、前蹴りで僕を引きはがす。それから剣を引き抜いてこちらへ投じ僕はそれを避けたが、直後に放たれた上段蹴りを頭部にまともに受けてしまった。
脳が揺れ視界が歪むと、同時に本能がここだと悟った。僕は彼の追撃を読み、それを紙一重で避けると、瞬時に血の剣を生成しそれを前方へ突き出す。歪む視界の中で剣が再びルークの体を貫くのが見えて、今度こそ渾身の力を込めた。その腕を、ルークが掴み体をひねって僕を体ごと後方へ投げる。僕は闘技場の壁に叩きつけられ、そこへルークの拳が突き刺さった。
僕は意識を失って地面に転がり、ルークは体に刺さった剣を引き抜く。そして拳を高々と掲げ、勝利の雄たけびを上げた。




