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大会当日、僕は万全の状態でA地区一番街の闘技場を訪れた。中へ入り参加者の登録を済ませると、その場に居た女性の一人に声をかけられる。
「お前、アランか!?こんなとこで何してんだ?」
「ラビさん……。僕も参加者の一人なので……」
「はあ?お前が?なんで?」
「もちろん統括に招待されたからです」
「いやいや、雑魚は招待されねえだろ。お前程度の力で参加できるわけねえよ」
「統括が決めたことです」
「お前……まさか、本気で強えのか?ならなんでいつもあたしに好き放題されてんだ?」
「それは……酒場は決闘をする場所ではありませんから……。すみません、控室へ戻ります」
参加者には全員分の控室が用意されており、僕は足早に自分の控室へと向かう。中に入り暫くすると、アヤが部屋を訪ねてきた。
「アラン、応援に来たよ」
「アヤさん、ありがとうございます」
「調子はどう?勝てそう?」
「勝てるかは分かりませんが、調子はいいですよ。今はただ、全力で彼に挑めることを嬉しく思います」
「いつぶりなの?学校の例のやつ?」
「はい、それ以来です。あの時は負けましたが、今度は……。いや、見ていてください。アヤさんの応援はとても力になります」
「うん、頑張ってね。じゃあ、また」
アヤが部屋を出て、少ししてまた訪問があった。黒いドレスを着たその女性は、控室に入り僕に笑顔を向ける。
「久しぶりだね、アラン。試合、観に来たよ」
「えっ、リヴィ様……!?どうして……」
「聞いてなかったの?一応アスラに招待されたんだけど」
「あっ、ゲストって貴女のことだったんですね……。驚きました」
「面白いものが観れると聞いてる。期待してるよ」
「は、はい……」
「それと、今日は蒼炎も来てるんだ。一応私の護衛という名目だけど、さっき一緒に挨拶に行こうと言ったら断られたよ。案外シャイな男だね」
「彼も来てるんですね……。一つ、負けられない理由が増えました」
「ふふっ、それは良かった。応援してるよ」
一回戦が何試合か終わった頃、僕は一度部屋を出てトーナメント表を見に向かった。ラビは第二試合で既に勝ちあがっているようだ。
表を見ていると対戦相手のルークが僕のところへ来て、彼は隣でトーナメント表に目を向け口を開く。
「よお、アラン。懐かしい感じだな」
「そうだね。一回戦っていうのも、なんだか昔を思い出すよ」
「はっ、今回のはどうせアスラの手回しだろ?別に運良くってわけじゃねえ」
「かもしれないね。それでも嬉しいよ。また君と、全力で戦える」
僕がルークの方を見ると、彼も視線を僕に向けた。
「がっかりさせるなよ」
「そっちこそ」
そのときルーク表情が僅かに曇ったことに僕は気づいた。久しぶりに会ったせいでそう感じただけかもしれないが、もしかしたら本調子でない可能性もある。それなら不調の隙を突くだけだ。彼には申し訳ないが、僕は今日勝つためだけにここへ来た。




