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その日二番街の酒場へ向かうと、僕は案内人のステラに呼び出された。カウンターの裏へ通され、二人になったところで彼女は話を始める。
「すみません、急に呼び出してしまって」
「いえ。闘技大会のことですか?」
「はい……実は、アランさんの一回戦は無観客になるみたいなんです。観戦席にまで危害が及ぶ可能性の高い、危険な試合になるとのことで……」
「一回戦だけですか?」
「今のところはそう聞いてます。それで、アランさんの出場はあまり大々的にしないようにも言われまして……。もちろん参加者のリストは公開されますから、絶対内密ということではないのですが……」
「分かりました。僕の相手はもう決まっているということですね?」
「そうみたいです。恐らく一回戦の最終試合になるかと。本当は部隊の皆さんにも伝えて、応援にも行きたかったのですが……すみません。二回戦は必ず応援に行きます」
「ありがとうございます。じゃあ、一回戦では負けられませんね」
後日、大会参加者のリストと対戦相手のトーナメント表が公開された。僕はルインブラッド拠点である五番街酒場にて、その表をテーブルに広げアヤと二人で見ていた。ステラの言っていた通り僕は一回戦の最終試合、相手はルークだ。
アヤは表を見て声を上げる。
「えっ、アラン出るの!?知らなかったんだけど!」
「統括に許可を頂きました。色々と手回しもしてくれたみたいですね」
「よく許可してくれたね。しかも相手ルークじゃん。大丈夫?」
「大丈夫です。そのために準備してきましたから」
「そう?っていうか、無観客ってなに?アランの試合だけそう書いてあるけど」
「はい、これも統括の配慮かと思います」
「いや、私観に行くけど。ねえ、私はいいでしょ?」
アヤは少し離れた場所に座っていた統括に声をかける。
「ん?まあ、お前なら別にいいが。自己責任でな」
「どういう意味?」
「流れ弾喰らっても文句言うなよってことだ。元々そのための無観客なんだからよ」
「はいはい。ていうか、どうせ貴方も観に行くんでしょ?」
「そりゃあな。なんならベルクも来るぜ。それと別でゲストも呼んである」
「なんだ、結構観る人いるじゃん」
「だが全員それなりの実力者だ。自分の身は自分で守ることを条件にしてる」
「そんなに警戒すること?観客が狙われるわけでもないし」
「念には念をだ」
その日家に帰ると、花屋でナギサとカナデが話していた。
僕を見るなりナギサが声をかけてくる。
「ちょっとアラン!闘技大会出るなら言ってよ!」
「ああ、ごめん。どうせ無観客だし……」
「それも!どういうこと?カナデとナナミと観に行こうと思ってたのに。これあんたの試合だけは観れないってことだよね?」
「うん。でも、一回戦だけだから」
「なら絶対勝ってよね。二回戦は三人で観に行くから」
「分かってるよ。ありがとう」




