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新しい環境にも慣れてきた頃、A地区二番街の酒場にて僕はナギサとナナミと三人で集まっていた。
ナギサは僕に尋ねる。
「そういえば、アランは闘技大会招待されてないの?ほら、年に一回のやつ。もうすぐでしょ?」
「ああ、そうだっけ……。今のところは何もないけど……」
「そっか……。うちの部隊からはラビが招待されてるみたいだけど、なんか残念……。絶対アランの方がいいと思うのに」
「他の部隊だと誰が出るの?」
「さあね。今年はベルクが出ないって言ってるらしいから、よく分かんない。ナナミ知ってる?」
「あー、なんか、ルークって人?が優勝候補らしいけど。この辺じゃ聞かない名前だよね。一番街だと有名なのかも。あとは……何、アラン、どうかした?」
「いや……ルークが、出るんだ……」
「知り合い?」
「うん。学校の同級生で……。ごめん、今日は先に帰るよ」
「え、どうしたの急に」
「少し用ができた。じゃあ、また」
僕はそう言い残し席を立ち、五番街へと向かった。
五番街の酒場へ入ると、中では統括が一人でソファに座り依頼の整理をしていた。
「おう、アラン。暇ならこの辺の依頼片付けてくれねえか?」
「暇じゃないです。闘技大会のことで話がしたくて」
「なんだ、興味あるのか?」
「はい。誰を招待するかは統括が決めているんですか?」
「まあ、そうだな。俺の考えとしてはお前を招待するつもりは無かったが……最近ベルクから話があってな、丁度悩んでいたところでもある」
「ベルクさんから?どういう話ですか?」
「このままだと過去最悪につまらん大会になると言われた。だが、お前が出場することで変わるかもしれねえ」
「つまらないって……それは、ベルクさん本人が出場しないからでは?」
「それもあるな。あいつが何故出場しないか分かるか?」
「いえ……」
「絶対に優勝できないからだ。負けると分かっている大会に出る気はないらしい。あいつにそこまで言わせる出場者が居る」
「そういうことですか……。ルークですね?」
「ああ。このままだと確実にルークの優勝で終わる。例えベルク自身が参加したところで何も変わらねえ。誰もルークの皇国流に勝る術を持ち合わせてねえんだ。ブラッドの大会で皇国流が無双すれば、そりゃあ大半の人間にとってはつまらんものになるだろうな」
「確かに……」
「そのルークが、唯一お前を警戒している。実際気にしてるみてえだぜ、アランは出るのかってな」
「出たいです。可能なら」
「お前が希望するなら決まりだな。色々と手を回すことにはなるが、出場できるよう準備しておいてやる。だが、出るからには勝てよ」
「はい、もちろんです。ありがとうございます」
「……で、どうやって勝つんだ?」
「えっ、と……作戦は色々あります。教団の力で強度を上げた装備なら、いくらルークでも突破されないと思いますから、その時点で対等には渡り合える筈で……」
「それで?」
「それで、その……。いえ、すみません。ルークはきっと僕の想像を超えてくる。僕の教団の力なんて、今のルークには通じないかもしれません」
「ならちょっとついて来い。下の施設にでかい部屋がある」
「え……?」
「牙をやる。ルークを倒すためのな」




