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翌日、僕は少し早めに部屋を出た。下の階へ降りると既にカナデが店の準備をしていて、僕を見て挨拶をする。
「おはようございます、アランさん」
「おはようございます」
「今日は少し早いですね。姉を起こしてきましょうか?」
「いえ、今日は別の用があるので。部隊には顔を出せないと、ナギサに伝えておいてください」
「えっ、あ……そうなんですね。何かあったんですか?」
「何も。ただ、今後も定期的に部隊には顔を出せない日があるかもしれません」
「そうですか……。分かりました。いってらっしゃい」
僕はA地区二番街を出て五番街へと向かった。酒場に入ると統括に赤い髪の男、それからアヤの姿もある。
統括は僕を見て口を開いた。
「おう、アラン。今日は検査か?」
「はい、そうです」
「終わったら話がある。依頼の話だ。早めに切り上げるよう言っといてくれ」
「分かりました」
僕は地下の研究施設へ向かい、シルベを呼んだ。彼女はまた僕をこの前と同じ部屋へ連れていき、施術台に寝かされる。
「今日は統括から話があるみたいで、早めにって」
「えっ、そう……。分かった、じゃあまた血を取るから」
シルベはそう言い腕に注射針を刺し、僕はこの前と同じように意識を失った。
意識が戻り体を起こすと、シルベが顔を真っ赤にして僕の側に立っていた。
「あ、アラン君……えっと、今日は終わりでいいよ」
「ああ、うん。なんか、また意識が……」
「そうだね、大丈夫な人もいるんだけど……体質かな?特に問題はないから大丈夫。あと、今回はちょっとだけ血の性質を変えてみたよ。変化が感じられる程ではないと思うけど」
「そう、ありがとう。次はまた数日後?」
「うん、定期的には絶対来て欲しいな。七日に一度とかでいいけど、少しでも異変があればすぐに来てね」
「分かった。じゃあまた」
研究室を出て上階へ上がると、統括が僕を待っていた。
「おう、戻ったな。アヤも来い。依頼について説明するぞ」
統括は僕と、それからその場に居たアヤに向けて話を始める。
「お前らに頼みたいのはダイアウルフの討伐だ。二日前に新種がみつかったんだが、アラン、お前の報告らしいな」
「はい。それが関係しているんですか?」
「ああ。各部隊でダイアウルフの依頼を調査しなおす必要が出てきた。で、新種の可能性が高いものは危険な依頼としてルインブラッドに回ってきてるわけだ。ランクBと聞けばたいしたことはねえが、奴は二頭以上で動くこともあるらしい。だったよな、アラン」
「そうですね、僕が遭遇したのは番いでした」
「二頭だろうと三頭だろうと、お前らからしたら相手じゃねえと思うが、まあ、気を抜くなってことだな。依頼は各地から届いてる。とりあえずそこの7枚を頼む」
僕たちはテーブルに置かれた依頼書を、アヤと二人で確認していく。A地区が3枚、B地区とD地区のものが2枚づつある。
「今後も追加されると思うが、A地区の依頼は後でいい。最悪ベルクに話をつければ部隊にも回せるからな」
僕は素直に頷いたが、アヤは怪訝な顔をする。
「またこのパターン……なんか、多くない?」
「何がだ?」
「新種が発見されて、その依頼が全部ルインブラッドに回ってくるの、前にも何回かあったよね?」
「確かに、めんどくせえパターンだな。急に俺たちの仕事が増える」
「それもあるけど、もっと根本的な話。このままじゃどんどん普通の部隊で対応できる依頼が減っていくでしょ?それに、最悪パールみたいなことになったら……」
「大丈夫だ。俺たちにはアランが居る」
「は?どういう意味?」
「人類はまだ、魔物の進化についていけてるってことだ」




