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女王の束ねた混沌  作者: GGGolem
6/15 G地区編
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 その日はディケインと二人でA地区一番街の宿に泊まり、翌日また酒場でベルクと合流して三人で街を出た。地下から舟でG地区へと向かい、ダンジョンに最も近い街で地上へ上がると、そこから先はベルクの案内で先へ進んだ。暫く歩くと周囲を木々に囲まれた僻地に到達し、その場所には小さなキャンプが設置されており、ルインブラッド戦闘員が一名待機していた。


『アラン様』


 ああ、イコル。ルインブラッドということは、教団の所有者だね。


『はい。ただ、それだけじゃありません。この先で強大な力を感じます。この力は……』


 どうしたの?何か心当たりが?


『もしかしたら……。いえ、すみません。もっと近づかなければ、正確には判断できません』


 ルインブラッド戦闘員は少しの間僕の方を見ていたが、その後一度キャンプの奥へ行き一枚の用紙を持ってきて僕たちにサインするよう言った。僕は用紙を受け取り、一通り目を通してから一番下に血でサインをする。書かれていたのは人物名のリスト。恐らくダンジョンへ挑み帰ってこなかった人たちの名だ。


 僕たちがサインを終え用紙を返すと、ベルクが口を開いた。


「俺が同行できるのはここまでだ」


「えっと……ただの森にしか見えませんが……」


「ああ、この森自体がダンジョンに指定されている。教団の力を感知したルインブラッドが周辺一帯を封鎖し、その区画がダンジョンと呼ばれるだけだ。入り組んだ迷宮が急に湧いて出るわけじゃない」


「そうなんですね……。では行ってきます。ここまでの案内、ありがとうございました」


「ああ。健闘を祈る」




 少し歩いたところで後ろを振り向くと、既にキャンプ地は見えなくなっていた。木々の密集具合が急激に増している。前を向いてもほぼ視界は遮られ、どこから魔物が飛び出してくるか分からない。


『アラン様、右手に回ってください』


 イコルの言葉に僕は立ち止まり、ディケインに声をかけた。


「ディケイン。こっちみたい」


「分かるのか?」


「うん。僕なら教団の所まで案内できるかも」


「それはありがてえ。一人なら詰んでたな。先導を頼むぜ」


「分かった。ついてきて。離れないようにね」


 暫く歩いていると、突然前方から一頭の魔物が飛び掛かってきた。全長2、3メートルで黒い毛の四足。あまり見ない外形だが、大きさからして恐らく低ランクだろう。僕が咄嗟に魔物の攻撃を受け流すと、後方のディケインが手早く対処する。彼は血の刃を上手く魔物の首元に差し込み一撃で息の根を止めた。


「ディケイン、まだ来るよ。後ろで拾って」


「おう、何体でも来い」


 たて続けに数頭、同種の魔物が飛び掛かってきたが、全ての攻撃を僕が剣で受け流し、後ろでディケインが処理をした。


 その後も少し進む度に魔物が現れたが、僕たちは同じ連携を繰り返し、後方でディケインが魔物を取り逃すことは一度も無かった。彼は短期間で驚く程の成長を遂げており、その実力は既に学校の生徒のレベルではない。




 暫く歩くと開けた場所に出た。小さな川が流れていて側には火の跡もある。


「ディケイン」


「分かってる。人の気配だな」


「僕が見てくるよ」


「ああ、任せた」


 恐る恐る火の跡に近づくと、岩陰から一人の女性が飛び出してきて血の剣を振るってきた。僕は片腕でそれを受け止め、こちらに戦意が無いことを示す。


 女性はすぐに剣を納めた。彼女は一般的なブラッドの戦闘員の風貌をしているが、ベルクと同じく口をマスクで隠している。ブラッド戦闘員は刃物を持ち合わせていない場合に歯で指などを自傷するが、マスクをしているということは緊急での自傷の際も歯を使う必要がないことを意味する。僕と同じく流血操作を会得しているのであれば彼女も相当の実力者だ。


「人間か……すまない、魔物かと」


「いえ、大丈夫です。お一人ですか?」


「ああ。そっちは……仲間がいるのか?」


 僕は頷いてディケインに合図を送ると、彼は僕の隣に並んだ。


「二人か……。珍しいな。いや、それよりどちらも見ない顔だが、どこの部隊の所属だ?」


「僕たちはまだ学校の生徒です。今年卒業予定で……」


「何?誰の許可を得てここへ来た?学校の生徒が立ち入っていい場所じゃない」


「統括とベルクさん、もちろん学校の先生にも。全員から許可をもらっています」


「なんだと?生徒に許可を出すとは思えないが……。名前は?」


「僕がアランで、彼はディケインです」


「アラン……まさか、以前皇国騎士を退けた一人の……?なるほど、そういうことか。私はフレア。普段はベルクの元で動いている」


「そうですか。フレアさんはここへ来てどれくらい経ちますか?」


「正確には分からないが、十日以上は経っている筈だ。お前たちは数えているか?」


「数えるも何も……まだここへ来て数時間です。入口からかなり近い位置だと思いますが……」


「……」


「フレアさん?」


「あ、いや……そうか、数時間か……。随分先へ進んだと思っていたが、戻っていたとはな……」

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