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数十日の後、僕はヴィオラとの演習にディケインを連れて行った。ヴィオラは僕たちに怪訝な顔を向ける。
「なんだ?ディケインも演習に加わるのか?」
「いえ、相談したいことがあって……。G地区のダンジョンのことなんですが」
「まさか挑みたいなんて言うんじゃないだろうな?」
「無理だと思いますか?」
「当たり前だ。これまで挑んだ者全員が失敗して帰らなかった。その中にはトップの部隊から送られた有力な候補者も含まれている。ダンジョンが何故これほど放置されているのかよく考えろ」
「でも、僕には教団の力があります。ディケインだって、学内では屈指の実力者になった。僕たちが挑んで無理なら、他の誰に攻略ができるんですか?」
「誰にもできないだろうな。私だって脅したいわけじゃないが……ただ客観的に見て、行けば死ぬとしか思えない」
「分かっています。その上で覚悟を決めてきました」
「はぁ……何にせよ、私からは許可を出せない。数日待て。G地区の状況も合わせて確認してみる」
「ありがとうございます。お願いします」
教師は一度退室しようと背を向けたが、足を止めてディケインに目を向ける。
「ディケイン、先のことは考えてるのか?」
「先のこと?どういう意味です?」
「力を得たとして、その先の未来は明るいものじゃない。分からないならアランに聞いておけ。後悔しない選択をしろよ」
後日、教師から統括に話が通り、僕たちはG地区へ向かうことを許可された。その次の日、僕はディケインと二人演習施設で今後について話し合った。
ディケインは神妙な面持ちで口を開く。
「許可が出て良かったな。出発はいつにする?十日後くらいにしとくか?」
「うん、それでいいよ。ヒマリとサリーにも話しておこう。ある程度はバレてるだろうけど」
「えっ、そうなのか?俺はサリーとそんな話してないけどな」
「ディケインの態度に出てたんじゃない?この前サリーに問い詰められたよ。二人で朝何してるのかってね」
「なんだよ……勘付かれてたのか……」
「サリーは自分の力が及ばないことも、ディケインの気持ちも、きっと誰より理解してる。だから何も言わなかったんだよ。今日、この後二人が来たらちゃんと伝えよう」
「そうだな……。ヒマリは?知ってるのか?」
「どうだろう。サリーから聞いてる可能性はあるけど」
「じゃあ知らねえかもな。知ってたら止めるだろ。お前が命を懸けようとしてんのに、あいつが黙ってるわけねえもんな」
「多分、知ってても止めないよ。E地区のときもそうだったけど、ヒマリはきっと僕の選択を尊重してくれる」
「そうか……。ヒマリのことなら、もうお前の方が詳しいかもな。とにかく生きて戻ろう。それが俺たちの最優先事項だ」
その日僕たちはヒマリとサリーにG地区へ向かうことを打ち明け、それから妹のアイカにも全てを伝えた。
彼女たちは心配こそしてくれたが、誰も反対まではしなかった。同じブラッドの戦闘員として、力を求めることがいかに自然であるかを理解しているのだ。




