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その後ブラッド統括のアスラが応接室へ来て、僕とヴィオラは一旦退室した。暫くして二人の会話が終わった後で、今度はアスラと僕の二人で話す場を設けてくれた。
アスラは口元に笑みを浮かべながら口を開く。
「調子はどうだ、アラン?」
「良くはないです……。統括は調子がいいみたいですね」
「お前のおかげもあってな。本当に良くやってくれた」
「どこまで仕組まれていたんですか?」
「仕組む?俺はルークの身を案じただけだぜ。あいつがE地区へ派遣されて悪い予感がしたんだ。で、レナの捜索依頼をお前の班に勧めるよう教師に伝えた」
「そうですか……」
「ルークがE地区で何か行動に出るとき、側にはお前を置きたかった。ルークの実力が異常なのは認めるが、それでも皇国騎士にはまだ遠く及ばねえと思っていたからな」
「でもルークは皇国騎士を退けました。それも、ほとんど一人で」
「ああ、流石に予想外だったぜ。第四席を退けたこともそうだが、そもそもあの街にそれほどの戦力が置かれているとは思わなかった。席持ちの騎士を置くとしても、せいぜい十席以下……まあ、それくらいならお前ら二人で共闘してどうにか生き延びるだろうって想定だ。悪いな、俺はお前らのことを甘く見ていた」
「そうでしたか……。あの、いくつか聞きたいのですが、今回の捜索依頼はどういう経緯で誰から出された依頼なんですか?」
「そうだな……まあ、こっちも少しは信頼されねえと駄目か。戦争中の話になるが、レナがE地区へ向かったのは前統括の指示だった。ブラッドの救援はもちろんだが、敵わねえと分かった段階で潜入に切り替えるよう伝えてあった」
「じゃあ、彼女は今ブラッドの戦闘員として皇国に潜入しているということですか?」
「その筈だったが、潜入してからブラッドへの連絡が一度もねえんだ。奴は皇国側に寝返った可能性がある。それで探りを入れたかった」
「名前も所属も公開してですか?」
「ああ、俺はもうあいつを仲間だと思ってねえからな。万が一ブラッドに復帰することがあっても、俺の側に置くことはねえ。それなら情報を伏せるより、公開した方が依頼を進めやすいだろ?」
「そういうことですか……。ありがとうございます、教えて頂いて」
「他に聞きたいことはあるか?今ならなんでも答えてやるよ」
「そうですね……。じゃあ、さっきカオスの女王とは何を話していたんですか?」
「今後について少しな。簡単に言えば協力体制を強化しようって話だ。戦争のときとは違って、こっちにはJ地区がある。これからは多少ブラッド優位に話を進められる」
「J地区……新しい土地ですか?」
「浮遊大陸だよ。あの区画を正式にブラッド領としてJ地区に定めた。今は封鎖しているが、カオスと共同で開発を進めることになってる。あの土地は互いのメリットが詰まってるからな」
「そうですか。カオスと協力できるなら良かったです」
「これもお前の手柄だな。全く頭が上がらねえよ」
アスラは僕の肩に手を置くと、口元から笑みを消した。
「お前はブラッドの誇る最高戦力の一人だ。そこに一切の疑いもねえ。ルークがお前を信頼するように、俺もお前を信頼している。改めてにはなるが……卒業後は俺の元でブラッドを支えてくれ」




