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学校の演習施設にて、僕が血の剣を下から上へ振り上げると、ヴィオラは両手に装備した血の手甲で受けた。そこから何度か剣を振ったが全て正面から受け止められ、一瞬攻撃の手を止めると腹に彼女の拳が突き刺さった。いや、実際に剣を振っているのは僕ではなく、僕が操作する血の鎧だ。鎧はヴィオラからの一撃に耐えられず崩壊していく。
「今の動き……」
僕が呟くと、ヴィオラは一度大きく息を吐く。
「自覚があるなら十分だ。しかしこれだけ動くようになるとはな……。ほとんどお前自身と変わらないんじゃないか?」
「確かに動きは良くなりましたが、まだ強度が足りません。それに、鎧の操作に意識を使い過ぎているのも問題です」
「今以上に強度を上げると、今度は動きが鈍くなるんだろう?両立は難しいんじゃないのか?」
「関節を作るしかないかもしれません……。鎧をパーツ毎に分けて、それをうまく繋げられたらいいんですが……」
「難しいな。一度研究施設で相談してみるのもありかもしれないが……今日は一旦終わりにしよう」
「どうしてですか?まだ昼前ですよ」
「この後予定があるんだ。シャワーを浴びてくるから、ここで待っていろ」
「え?待つんですか?」
「ああ。すぐに済ませる」
ヴィオラはそう言い残し部屋を出ていった。
ディケインたちとの遠征から帰って三十日余り。ヴィオラと二人での演習は以前よりも増え、最近は血の鎧の制度を上げるために時間を費やしている。
ヒマリやアイカとの関係性には今もまだ悩んでいて、彼女たちとはできる限り距離を置きあまり話さないようにしているのが現状だ。色々な問題を後回しにして、僕はただ一つ揺らぐことのない目標だけを見ていた。
暫くしてヴィオラが部屋に戻り、その後は二人で学内にある応接室へ向かった。部屋の中に入るとそこに一人の女性の姿があり、ヴィオラは慌てた様子で頭を下げる。
「女王陛下……!すみません、もういらしていたとは……」
そこにはカオス勢力の女王リヴィの姿があり、不意の再会に僕は驚き唖然とした。
「予定よりも早く来たんだ。アランと話がしたくてね」
「お、お久しぶりです。リヴィ様……」
「久しぶり。君の話は色々聞いたよ。その話題で持ち切りだったと言ってもいい」
「えっと、そういう場があったのですか?」
「うん、四勢力の会合がね。アスラは随分調子に乗っていたよ。皇国には喧嘩腰、パールにも恩着せがましくしている。外交という意味では正しいのかもしないが、なんというか……見ていて愉快だったよ」
「そうですか……。でも、皇国に喧嘩腰って……皇国は黙ってないですよね?」
「いや、今は黙ってるよ。安い挑発に乗るような勢力じゃないからね。でも、少なからず焦りもあるように見えた」
「焦りって、もしかしてルークが関係してますか?」
「ついでに君もね。ブラッドの二人が皇国騎士の一人、覇剣のリサを退けたって聞いたよ?皇国にとってはかなり衝撃だったんだろう」
「僕も入ってるんですか……」
「目を付けられたね。二人での共闘とはいえ、第四席を退けたんだ。皇国は君たちを明確に脅威と見ている」
「第四席というのは、やっぱり皇国の中でも相当凄い方だったんですね」
「もちろん。彼女は雷の能力を保有した上で、それとは関係のない称号が与えられている。彼女は教団の力に頼らずともその席に相応しい実力を備えているということだ」




