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寮へ向かって歩いていると僕は教師に呼ばれ、ヒマリの手を振り払って逃げるように教師の元へ向かった。
教師は顔色が悪く焦燥した様子で口を開く。
「アラン……悪いな、急に呼んで」
「いえ、何かあったんですか?」
「既に聞いているかもしれないが、二日前に学校で事件があった。生徒三人が殺され、サキが犯人としてA地区へ送還されている」
「えっ……なんですかそれ……」
「死んだのはサキの班のメンバーで、彼女本人も罪を認めているようだ。事件の責任は私にある。お前に注視するよう言われていたにも関わらず、本当に申し訳ない……」
「いえ、そんな……。先生は大丈夫なんですか?」
「私は六年目の担当から外れることになった。来年以降も暫くクラスを持つことは無い。ただ、お前個人については今後も担当を継続していいそうだ。ルインブラッドにも関わることだからな」
「そうですか……。演習にはまた付き合ってくれますか?」
「ああ、その辺はこれまで通りで構わない。必要なときに呼んでくれ」
「分かりました。その……色々大変かと思いますが、これからもよろしくお願いします」
「私の方こそ、よろしく頼むよ」
教師との会話の後寮へ戻ると、夕方頃にアイカが僕の部屋を訪ねてきた。彼女は部屋に入ると、少し怒っている様子で口を開く。
「帰ってきたなら言ってよ。居ない間に色々あって、大変だったんだよ?」
「サキのことだよね。さっき先生から聞いたよ。六年目の担当から外されるって……」
「えっ、先生が?誰か代わりが来るってこと?」
「いや、そこまでは聞いてない。個別の演習なら今後も付き合ってくれるみたいだし」
「そうなんだ。ならいいけど……。それで、事件のせいで二日前から学校が休みになってね、暇だったから一人でD地区に行ったんだけど、そこでもなんか揉めてて……」
「揉めてた?誰と誰が?」
「えっと……ルインブラッドの赤い髪の人と、ゼノって名前の人。二人とも教団の力を持ってて、なんか親子らしいんだよね」
「ゼノ……?赤い髪の人の父親ってこと?」
「だと思う。その人も仮面を被ってたから最初はルインブラッドの所属かと思ったんだけど、今の統括から除名されたみたい」
「そう……色々気になるね……。でも、どうしてそんなことまで分かるの?」
「揉めてるときにちょっとだけ戦闘になったんだけど、ゼノさんすぐに倒れちゃって。それで私が看病してあげようと思ったんだけど、仮面すらとってくれなかったんだよね。そのときに話だけ聞いたの」
「仮面……。そもそも、どうして除名された後もつける必要が……」
「アランの方はどうだったの?学校の依頼、うまくいった?」
「うん、一通りは……」
「そう。他の女子とは?何もなかった?」
「な、無いよ……」
「嘘ついてる顔。誰?とりあえず名前教えて」
「何もないって……。そういう話はやめよう」
アイカは大きくため息を吐き、ベッドに腰を掛けて頬杖をついた。彼女は僕から目を逸らし、少し頬を染めて口を開く。
「ずっと一緒だったからかな……普通に兄妹として過ごすことが当たり前になってた。アランのことは私が一番良く知ってるし、一番支え合ってきたし……なんか、変に余裕ぶってたのかも」
「えっと、何の話……?」
「別に。ちょっと寂しいってだけ。戦争の後からは離れて暮らすようになったし、D地区の防衛とか、浮遊大陸とか、学校どころかブラッド全体で有名になっちゃうし……。遠くに感じてたら、本当にルインブラッドへ行くとか言うし……」
「あの……さっきから、何を言ってるの……?」
「私はね、少しでも長く一緒に居たいよ。兄妹としてでもなんでもいいから、できるだけ側に居られるように頑張りたい。それがどうしても今年で終わっちゃうなら、今を大事にしたいの。変に女作って遊ぶとかはやめて欲しい。ずっと一緒だったのは私なんだから、もっと私を大事にしてよ」
「アイカ……君は、本当に僕の妹……?」
「これだけ言ってるんだから、もう気づいてると思うけど……。血は繋がってないってさ。メアさんに手紙で聞いたら、それだけ返事きたんだよね」




