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女王の束ねた混沌  作者: GGGolem
5/15 六年目
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 翌日、僕たちは無事に朝を迎えた。ルークの体調はかなり回復していて、そこからは順調にブラッドの街へ帰還することができた。


 街に近づくと上空で監視していたフィオが僕たちを見つけ、目の前に降り立った。


「ルークさん、アランさん!良かった、無事で……」


「うん、ディケインたちは街に?」


「はい、酒場で待機していると思います」


「分かった。じゃあ、ルークを頼んでもいいかな?かなり消耗してるから、休ませてあげて欲しい」


「えっ、わ、分かりました!」


 僕はルークをフィオに任せて街の酒場へ向かい、中へ入るとディケインたち三人が迎えてくれた。


「アラン、無事だったか!」


「うん、僕は大丈夫。ルークはかなり消耗してるけど……」


「ルークが?何があった?」


「皇国騎士との戦闘があって……ルークが勝ったんだけど、回復のために引き返すことにした。レナについては生きてる可能性が高いと思う。はっきりとは分からなかったけど、名前を出したときの反応がそんな感じだったから」


「そうか……ありがとな、助かる。依頼の報告は、皇国領にて生存の可能性有りってとこだな。できれば仮面も借りていきたいが……」


「そうだね、ルークに聞いておくよ」


「よし。じゃあ、アランが回復したら街を出るか。今日のところは休め」


「僕なら大丈夫だよ。戦ったのはルークだから。もうここでやることが無いなら今日のうちに出よう」


「本当か?随分歩いてきたんじゃないのか?」


「そうだけど……休憩を挟みながらゆっくり戻ってきたから、疲れはないよ」


「そうか……この辺りの依頼は済ませてあるし、今日ここを出て五番街まで戻るか……。それならすぐに出発した方がいいな」


「分かった。ルークとフィオに伝えてくるよ。外で待ってて」




 僕はルークとフィオに挨拶をしてレナの仮面を預かり、ディケインたちと四人で九番街を出た。行きと同じく帰りもまた一日かけて五番街へ戻り、街に着くとまずはその日の宿を探した。空いている宿を見つけるのに今回も時間を要したが、どうにか二部屋空きを見つけ僕はヒマリと同室で過ごした。


 夜、ヒマリは何度か僕に何かを言いかけ、その度に言葉が見つからない様子で口をつぐんだ。そして何事もなく朝を迎え、支度をして宿の前でディケインたちと合流する。


「おはよう、ディケイン。依頼は幾つ残ってる?」


「あと二つだ。お前はヒマリと二人でこれを頼む。簡単過ぎるかもしれねえが……まあ、暇だったら適当に遊んでてくれ」


 ディケインから依頼書を一枚手渡され、僕はそれに目を通し頷いた。


「分かった。学校に戻るのは明日?」


「ああ。宿は今日の分もとってあるからな。日が暮れる頃にまたここで落ち合おう」


「うん、じゃあ行ってくるよ」


 ヒマリはサリーと何やら話をしていたが、少しして僕の元に来て、彼女と二人で一度街を出た。その後依頼を難なくこなし、昼過ぎには街に戻るための帰路に就いた。


 道中僕はヒマリに声をかける。


「ヒマリ、朝サリーと何を話してたの?」


「えっ……それは、内緒……」


「もしかしてだけど……敬語をやめるようにとか、呼び捨てにするようにとか、サリーから言われてる?」


「あ……うん……。き、昨日のこと、聞かれて……それで……」


「ああ、そういうこと……。ヒマリはサリーと仲いいよね」


「うん、結構付き合い長いだから……」


「僕が班に入らなくても、君たちは上手くやれてたんじゃないかな?僕はまだ班に馴染めてないし……ヒマリのことを傷つけてばかりだ……」


「そんなことないよ……!サリーとは確かに何でも話せる仲だけど……色んな意味で下に見てくるから、正直嫌いだし……。もちろん私がサリーに全部負けてるのは分かってるけど……」


「全部負けてるなんて、それはないよ。ヒマリには一度決めたことをやり抜く意志の強さがある。周囲の目も失敗も、きっと君はものともしない。僕からすれば、君の強さにはルークに通ずるものさえ感じる」


「何言ってるの……?意志なんて、私、全然……」


「ニ年くらい前だったかな、君が模擬戦で勝ったのを覚えてる。そのときに、上を目指すことを辞めない、君の意思を見た気がするんだ」


「それ、私じゃなくて、相手の方を見てたんじゃないの?その頃のアランが私に興味あるわけないもん」


「えっ……ああ……。ごめん、そのときはそうだったかも……。でも印象に残ってるんだ。僕からすれば、君の強さは底知れないよ」


「ねえ、もしかしてシルベちゃんのことも……」


「違うよ」


「そ、そう……。うん、それなら良かった……」


 思い出したのは二年程前のシルベの模擬戦。相手はヒマリで、裏では最弱を決める試合とも言われていたが、その試合で勝利したヒマリは確かな強さを示していた。シルベは学校を去ったから、ヒマリは今僕にその質問をすることを躊躇ったけれど、聞きたかったことは凡そ分かったから否定しておいた。僕はもう、シルベとヒマリの二人を重ねてはいないということだ。

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