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女王の束ねた混沌  作者: GGGolem
5/15 六年目
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 フィオを加えた五人で、僕たちは九番街の酒場へ向かった。


 街は人気が無く閑散としている。舟が止まったことで移動手段がなくなり、皇国にも近いことから避難する住民が多いのかもしれない。


 酒場へ入るとルークの姿があり、彼は僕に気付くと驚いた様子で口を開いた。


「アラン!おい、アランじゃねえか!」


「ルーク、こんなところで会えるなんてね。どうしてこの街に?」


「今はここが皇国手前の最後の街だからな。トップの部隊から何人か向かうことになって、それで俺が立候補したんだ」


「へえ、立候補……。周りに止めらなかった?」


「一部の連中は喚いてやがったが、そんなもんは無視だ。お前は?この街になんか用か?」


「学校で受けた依頼で人探しをしていて。レナっていうルインブラッド直属の人なんだけど……」


「何?本当か?」


「うん。さっきフィオから墓について聞いたけど、何かあるの?」


「まあな。にしてもお前、いいタイミングで来てくれた。これで俺も動けるぜ」


「えっと、何の話?レナって人のこと、やっぱり知ってるんだね?」


「ああ、レナは俺と同じ街の出身で、皇国とブラッドの混血ってのも同じだ。あいつは誰よりも早く皇国の侵攻を聞きつけ、その街へ向かった」


「それで、ブラッドの部隊を避難させて一人で戦ったんだよね?その後皇国の人が来て、彼女の死を告げた」


「告げさせたんだよ。レナは自分を死んだことにして、街一つ皇国に献上したのさ。あいつは戦ってねえ。元々戦う気なんかなかったんだ」


「どうしてそう思うの?」


「街へ向かう前に力を捨ててるからだ。俺も最近になって知ったことだが……ルインブラッドに赤髪の男が居るのを知ってるか?」


「うん、知ってる。何度か話したこともあるよ」


「そいつが戦争中にレナから力を引き継いだらしい。これから皇国と戦うってときに、力を捨てるなんてあり得ねえだろ?」


「それもそうだね……。でも、彼女が本気で皇国側につこうとしていたなら、わざわざブラッドに力を残していくかな?」


「確かに、その理由は分からねえな……。いや待て、お前俺より先にレナって言ったか?」


「え、うん……依頼書にそう書いてあったから……」


「レナはルインブラッド直属なんだろ?正体隠すために仮面まで被ってんだぞ。もしあいつが生きて見つかって、復帰したらどうするつもりだ?」


「ああ、確かに……」


「読めねえな……。統括は何を考えてやがる……。一回その依頼書を見せろ」


「うん。ディケイン、依頼書持ってる?」


 ルークはディケインから依頼書を受け取り、彼を睨みつけた。


「ディケイン……いたな、そんな奴。お前がアランの新しい班のメンバーか?」


「まあ、そうだが……。なんだよ」


「はっ、こんな雑魚を三人も引き連れてんのか。おいアラン、なんでこいつらと組んでんだ?」


 僕は首を横に振って答える。


「雑魚じゃない。君は強いのかもしれないけど、この三人が弱いわけじゃない。僕だって、彼らから学ぶことは多いと思ってる」


「正気か?お前の基準はどんだけ下なんだ?」


「君の見る目が無いだけだ。君の方こそフィオと組んでるみたいだけど、それはどうして?」


「組んでる?こいつは勝手についてきてるだけだぜ。まあ、雑魚には変わりねえが、一応そいつらよりは動けるしな」


 ルークは喋りながら依頼書に目を通しそれをディケインに返すと、口元に笑みを浮かべて僕に言った。


「アラン、明日皇国へ行くぞ」


「え?」


「殴り込みだ。その依頼を言い訳にする」


「本気で言ってる?」


「当然。レナに聞きたいことがある。お前もこのまま帰るわけにはいかねえだろ?」


「それは……。もちろん、レナって人が本当に生きてるなら確かめたいけど……」


「決まりだ」


 ルークは立ち上がり酒場の一角に置いてあった仮面を手に取ると、それをディケインに手渡す。


「ディケイン、一応こいつを預けておく」


「これ、レナの仮面か?」


「ああ。俺たちが帰らなければ、それを依頼人に渡してレナは死んだと報告しておけ。ブラッドとしてのレナは死んだ、ってな」


「帰らなければって……」


「奪ったばっかの街だぜ?皇国もある程度の戦力を置いてる筈だ。返り討ちに遭うかもしれねえ」


「お前、何言ってんだ……!そこまでしなくていい!下手に動けば勢力間の問題にもなるんだぞ!」


「安心しろ。なるべく戦争にはならねえように動く。じゃあアラン、明日の朝酒場に来いよ」


 ルークは酒場を出て行こうとしたが、フィオが彼に声をかけた。


「わ、私も……」


「駄目だ。お前はここに残って戦争にでも備えてろ」


「連れて行ってくれないのですか……?」


「足手まといだ。お前はまだアランの足元にも及ばねえ」

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