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女王の束ねた混沌  作者: GGGolem
5/15 六年目
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 翌朝、サリーが部屋に来て僕を外に呼び出した。


「もう準備できてる?」


「うん、僕は大丈夫。ディケインはまだ寝てるけど……」


「そ。ヒマリのことなんだけど……あ、なんか聞いてる?」


「少しだけ。サリーから見てどう?ヒマリは本当に僕のことを嫌ってないのかな?」


「嫌う?アランを?あり得ないって。昨日もあの後すごい落ち込んじゃって大変だったんだから。ずっと話聞いてあげてたんだけど、途中から大泣きしちゃって何言ってるか分かんないし」


「そうなんだ……。なんていうか、その……」


「ヒマリはね、ちょっと人見知りなだけで普通によく喋る子よ。あの子のことなら私が一番よく分かってるから。何かあったら私に相談して」


「分かった。ありがとう」


「それじゃあ、ヒマリを起こしてきてあげて。私はディケインを起こしてくるから。部屋、勝ってに入っちゃっていいからね」




 僕はヒマリの部屋のドアを叩き声をかけたが、反応が無いのでそのまま中へ入った。そして彼女の元へ近づいて、もう一度声をかける。


「ヒマリ?」


「あ……えっ、あ、アランさん……」


「おはよう。そろそろ出発の準備をしよう」


「えっ、えっと……あれ、私、サリーと同じ部屋だったような……」


「サリーならディケインのところに行ったよ」


「あ、わ、私その……すみません、こんな格好で……」


「ああ……僕の方こそ、勝手に入ってごめん。サリーに入っていいって言われて……」


「そ、そうですか……じゃなくて、そっか……」


「ねえ、ヒマリ。一つ聞きたいんだけど……君はどうして戦闘専門の学校に入ったの?」


「あ……やっぱり、合わないかな……」


「最上級生まで上がれている時点で合わないなんてことはないよ。六年通えるのは本当に一部の生徒だけだから」


「あ、ありがとう……。でも、そんなにたいした理由は無くて……。昔親が魔物に殺されちゃったから、それで……」


「え……それで自分は戦えるように……?凄いね……」


「す、凄くないよ、全然……。今なんか卒業できるかも分かんないし……みんなにはいつも迷惑かけてるし……」


「たいした理由じゃないって、そう言えることが凄いと思うよ。本当に色々なことを乗り越えてきたんだね。僕なんかよりもずっと」


「そんな……私なんか、別に……」


「教えてくれてありがとう。じゃあ、外で待ってるから」




 僕たちは四人揃って宿を出て、次の街、九番街を目指した。一日中歩き続け、ようやく目的の街が見えたところで、僕は視界に空を飛行する何かを捕らえた。


「待って、ディケイン。空に何か……」


「なんだ?魔物か?」


「いや、あれは……竜人かな……?もうブラッドの部隊に……?」


 浮遊大陸から地上へ降りた人々の内、竜の血を流す者は全員ブラッドが受け入れている。あれは恐らくその一人だ。


 飛行していた竜人はこちらに気が付いて急降下し、目の前の地上へ降り立つと、その女性は僕の名前を口にする。


「アランさん!?お久しぶりです!」


 彼女のことは僕も覚えていて、浮遊大陸でルークが最初に助けた女性だった。


「フィオ?ブラッドの部隊に入ったの?」


「えっと、正式ではないのですが……。今はどうにかルークさんのお供として同行させてもらっています」


「えっ、じゃあ、ルークも一緒にいるの?」


「はい。そこの九番街に居ますよ。アランさん達はどうしてこちらへ?」


「人探しの依頼で。レナっていう名前の女性なんだけど、何か分かる?」


「レナ……ああ、そうでしたか。それでしたら、えっと……一先ずついてきてください」


 フィオはそう言い街の方へ向かって歩き出し、僕たちもその後に続いた。


 歩きながら、ディケインは僕に尋ねる。


「おい、アラン。知り合いか?」


「うん。浮遊大陸の人だよ」


「さっきの翼はなんだ?教団の力じゃないよな?」


「あれは血統の力だと思う。僕たちの血の力と同じようなものだ」


「なるほど、そういう感じか……。一応味方なんだよな?」


「今はね。彼女に限って言えばルークを慕っていると思うから、彼次第かもしれないけど」


「そうか。まあ、色々あったんだな」




 フィオについて歩くこと数分、街外れのとある場所で彼女は足を止めた。そこには一つだけ墓石が置かれていて、レナの文字が刻まれている。


「これ、見てください」


「墓……レナという人はもう亡くなっていたんですね……」


「それが、よく分からないんです。私もこれを見て亡くなったのだと思いましたが……どうやら生きているかもしれないみたいで」


「どういうこと?」


「その……ルークさんが、墓を暴いてしまって。そしたら、骨は埋まっていなかったんです」


「じゃあ、この墓は誰が建てたの?」


「ブラッド戦闘員の方々だそうです。戦争で皇国領となった街に元々配備されていた部隊の」


「そう……。戦争中に何があったかは聞いてる?」


「はい、一応……聞いた話ですと、レナという方が皇国侵攻の話を聞いてその街に駆け付け、ブラッド部隊を避難させて一人で戦ったとか……」


「それでレナは帰らず、亡くなったと判断したのか……」


「単に帰らなかっただけではなく、皇国の人から亡くなったことを告げられたようです。そのときに彼女の仮面を置いていったみたいで……」


「えっ……その仮面はどこに?」


「仮面はこの墓に、骨の代わりとして埋められていたのですが……。掘り起こした際に、ルークさんが勝手に持ち出してしまって……」


「ルークが……?彼は何がしたいんだろう……」


「さあ……。何か思うところがあるのかもしれませんが……私には話してくれなくて」


「彼は今どこにいる?」


「この時間ですと、恐らく酒場ですね。案内しますよ」

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