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女王の束ねた混沌  作者: GGGolem
5/15 六年目
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 僕はディケインたちと共に学校を出て、皇国に最も近いエリアであるE地区を目指した。


 依頼の目的は人探し。対象の人物はカオスとの戦争中に行方を晦ましたルインブラッド直属の戦士で、灰色の髪の女性、名前はレナと記載されている。依頼のランクはN、戦闘不要の場合に指定されるランクで、現在この手の依頼は学校に回されることが多くなっている。対象者は亡くなってる可能性が高く、通常部隊の手を割けないからだろう。


 舟で地下を移動すること数時間、E地区中心地まで到達した所で地上へ上がった。


「舟の移動はここまでか。五番街……思ったより早く降ろされちまったな」


 ディケインの言葉に僕は頷く。


「そうだね。獲られたのは街一つだけど、思っている以上に影響が出てるのかもしれない。どうする?徒歩で先へ進む?」


「いや……。今日のところは五番街で情報収集だ。先に宿を探すぞ」


「うん、分かった」




 街の宿へ向かうと部屋は全て埋まっていて、それから何件も宿を回ってようやく空いているところを見つけた。宿泊を予約した後は二手に分かれ、僕はヒマリと街の酒場へ向かう。


 道中、僕は彼女に尋ねる。


「ヒマリは、今回の依頼をどう思う?」


「えっ……どうって……」


「行方不明者のことだよ。ルインブラッド直属って話だけど、僕たちが来たのはE地区だ。ちょっと変じゃないかな?」


「そ、そうですか……?」


「その人はカオスとの戦争中に皇国側に派遣されたことになる。ルインブラッド直属の戦士を皇国に送る余裕なんてなかった筈なのに。皇国の侵攻を聞いて駆け付けたにしても、前線を放棄するには相当の理由が要ると思う」


「確かに、そうですね……。それが行方不明の原因になっているかもしれない、ということですか?」


「どうだろう。直接の原因は舟の規制にあると思うけど……。この街から更に皇国側へ進む人がいないせいで、安否も分からないんじゃないかな?」


「あ……そっか……」




 その後酒場に到着し何人かに聞き込みをしたが、たいした情報は得られなかった。更に皇国側へ行くにも現在は徒歩しかないようで、僕たちは一度宿へ戻ってディケインたちを待つことにした。


 宿の前で暫く待ち、四人が揃ったところでディケインが口を開く。


「おう、アラン。そっちはどうだ?」


「全然駄目だね。この街じゃ皇国から遠すぎて、流石に対象者に関する情報は無いみたいだ」


「そうか……まあ、そうだよな。こっちも同じだ。徒歩で次の街を目指すしかないか……」


「じゃあ、今日はもう休んで明日出発する?」


「だな。そうするか。部屋は二つ取ってあるが……まあ、多分、お前次第だ」


「えっと、何が?」


 僕が尋ねると、サリーが代わりに答えた。


「誰が同じ部屋になるかって話。アランが良ければ、私とディケイン、アランとヒマリって感じになるんだけど」


「それが、どうして僕次第なの?」


「私はディケインと一緒がいいし、ヒマリもそのつもりだろうし」


「え?」


 僕がヒマリの方を見ると、彼女は恥ずかしそうに視線を逸らした。彼女と二人で行動してみて思ったが、彼女はまだ僕に全く心を開いていない。ずっと敬語のままだし、会話もあまり続かないし、まだ二人で同じ部屋に泊まるような関係ではない。


「どう?ヒマリと一緒でいいよね?」


「いや、みんなには悪いけど、ディケインと一緒の方がいい。行こう、ディケイン」


 僕はそう言い、ディケインと二人で部屋へ向かった。




 夜、宿の一室でディケインはベッドに横になりながら口を開いた。


「なあ、アラン。ヒマリとはどうだ?うまくやれそうか?」


「分からない。まだあまり話してくれないし、良く思われてないのかもしれない。六年目で急に班に入ったわけだから、当然だとは思うけど……」


「それはねえよ。アランを班に入れたいと言ったのはヒマリだからな。正直俺はお前を誘うことにビビってたんだが、ヒマリに言われちゃ仕方ねえ」


「えっ、そうだったの?」


「ああ。ルークとの試合を見て以来、あいつはずっとお前のファンなんだよ。お前のことばっか話すようになったし、だから余計緊張してんのかもな」


「全然知らなかったよ……。あっ、もしかして……」


「どうした?」


「いや……だとしたら、さっきは悪いことをしたね」


「気にすんな。じゃあ、俺はもう寝るぜ」


 ディケインに言われて思い出したが、ルークと試合をした次の日に僕はヒマリと話しているかもしれない。これからも応援したいと、彼女は確かに言っていた。

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