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後日、学校へ向かうと、敷地内に入って少し歩いたところでサキの姿を見かけた。彼女は建物の影で一人蹲っている。
「サキ?どうしたの?」
僕が声をかけると、彼女はこちらを睨みつけ声を荒げた。
「来ないで!」
「な、何かあったの……?」
「来ないでって!あんたには関係ない!」
「でも、泣いて……」
「触るな!そんな手で!私に……!」
「ご、ごめん……」
周囲にいた生徒がこちらを見ている。その中にディケインの姿を見つけ、僕は彼の元へ駆け寄った。
「おはよう、ディケイン」
「ああ……なんだ、大丈夫か?」
「分からないけど……。僕じゃ力になれそうにない」
「あれ……サキだよな?お前、元々同じ班じゃなかったか?」
「そうだけど……。解散した後はまともに話してくれなくて」
「そうなのか……心配だな。一応教師を呼んでおこうぜ」
「それなら僕から報告しておくよ。ディケインは先に行ってて」
僕は教師にサキのことを報告し、彼女の班を注視するよう頼んだ。その後で依頼を受け付ける施設へ向かい、ディケイン達と合流する。
「来たな、アラン。サキの方はどうだ?」
「先生に報告しておいたから、ひとまず安心していいと思う。今日の依頼はもう決まってる?」
ディケインは頷いてテーブルの上に依頼書を広げ、僕はそれに目を通していく。
「今日というか、今後暫くって感じだな。この前教師に勧められた依頼なんだが、そろそろ受けてみようと思ってる」
「へえ……少し遠出になりそうだね」
「ああ。まだ決めたわけじゃないが、今のところ第一候補だ。あとはお前の意見を聞きたい」
「いいと思う。僕は賛成だよ」
「なら決まりだ。今日はこれで解散して、明日出発しよう」
翌日、朝いつものようにアイカが僕の部屋を訪ねてきたので、僕は依頼について彼女に話した。
「それで、暫くは学校を離れると思うから」
「新しい班見つけたんだっけ?どんなメンバーなの?」
「リーダーはディケインっていうんだけど……名前じゃ分からないか」
「全部で何人?」
「僕入れて四人だよ」
「女は?」
「え……ふ、二人……」
「ねえ、そういう関係になるんだったら事前に私に報告するようにして。それで一回は私のところに連れてくること。いい?」
「そういう関係って……」
「彼女作るならって話。今後そういうのは一人で決めないで」
「どうしてそこまで僕を気に掛けるの?六年目になってから特に」
「何……迷惑って言いたいの?」
「エスカレートすれば迷惑にもなるよ。じゃあ、もう行くから」
「待って。ねえ、待って!」
部屋を出ていこうとする僕の腕を、アイカは強く掴んで引っ張った。振り向くとアイカは寂しそうな表情をしていて、暫く俯いてから僕の腕を放した。
「私たちって、なんなんだろうね……。本当に家族なのかな……」
「アイカ……?」
「いや、ごめん……。じゃあね、頑張って……」
学校の依頼を受け付ける施設へ向かうと、既にディケイン達他三人は揃っていた。テーブルの上には何枚かの依頼書を広げている。
「おう、アラン。ついでに受けられそうな依頼を集めておいたぜ。せっかくの遠出だからな」
「これ全部?何枚あるの?」
「追加したのは四枚だ。ランクも低いし問題ないだろう」
「そうだね。若干地域が離れてるのは気になるけど……」
「ああ、途中二手に分かれてもいいかと思ってな。どう思う?」
「いいよ。詳しい計画は君に任せる」
「よし、じゃあ確定だ。受注してくる」
ディケインはそう言い、全ての依頼書を手に受付へ向かった。彼がテーブルを離れると、サリーが笑みを浮かべながら口を開く。
「さっき二手って言ってたけどさ、基本的にはアランとヒマリで組むことになるから。仲良くね」
「ああ、うん。よろしく、ヒマリ」
「はい……。よろしくお願いします……」
ヒマリは小さな声でそう言い軽く頭を下げた。
彼女の第一印象はシルベに似た生徒。実力もそうだが、性格や言動にも重なる部分があった。




