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僕は学内の研究施設で採血を行い、その後教師と別の部屋に入った。
「さて、アラン。これからも一年間は私が担当になる。何かあれば私に言うように。ルインブラッド以外のことでも相談があればいつでも聞くからな」
「ありがとうございます。じゃあ、一つ聞きたいのですが……皇国流格闘術について教えてください。『破空』以外にどんな技があるんですか?」
「お前なぁ……ルークを意識し過ぎじゃないか?対皇国用に知っておきたいわけでもないんだろ?」
「そうですけど……。知っておきたいんです。また彼と戦う機会があれば、次こそは勝ちたいので」
「分かったよ。私の知っている範囲にはなるが……皇国流格闘術の技は三つ。『破空』の他に、『破城』と『破天』の二つがある。これらは射程が大きく違い、全て習得できれば近距離から遠距離までをカバーできる。近距離の『破城』、中距離の『破空』、そして遠距離の『破天』だ」
「ルークが次に習得するとしたら、『破城』になるんでしょうか」
「次?それは……どうだろうな。いくらルークでも、易々と覚えられるような技じゃない。が、確かに『破天』よりは『破城』だろう。そもそも『破天』の使い手は皇国にすら居ないからな」
「皇国にすら?『破天』はどういう技なんですか?」
「遠距離の敵を打ち抜く弾丸のような打撃、と聞いたことがある。どういう原理でそんなことが可能なのかは見当もつかないが。過去にその技を扱えたのも、皇国流を考案した本人ただ一人という話もあるくらいだ。今ではもう幻の技と言ってもいい」
「そうですか……でも、遠距離ということは『破空』と同じで空間を打つんですよね?空間を押して空気の圧を飛ばすのが『破空』……でもその原理じゃ射程に限界があるから、より遠くの敵を打つために別の原理として考案されたのが『破天』。そういうことでしょうか……」
「おい……私の話を聞いていたか?『破天』の対策を考えようとしてるなら無意味だ。それを扱える人間はこの世界に居ないんだからな」
「無意味ではありません。ルークならきっとそれを完成させますから。少なくとも僕は、その技の対策を考えた上で彼と対峙する必要があります」
「はぁ……ルークに関してはお前の方が詳しいか……」
教師との会話の後、僕は一人で闘技場へ向かった。その日は五年目の生徒がトーナメント形式の模擬戦をしていて、僕はその様子を観戦席に座って見学した。全ての試合が終わると、優勝した生徒、アイカが僕の元へ来て、少し興奮した様子で口を開く。
「み、見に来てくれたんだ……。優勝、したよ……」
「おめでとう、アイカ。凄い試合だったね」
「いや、そんな……。アランが見てるの気づいて、なんか力が出たっていうか……。ただ見に来てくれただけ?それか、何か用?」
「卒業後のことを話しておきたくて……」
「卒業後?もしかして、部隊決めたの?」
「うん。A地区二番街の部隊に加入することになった。だから、D地区へは帰れない」
「そ、そう……。どうして?」
「どうしても。学校側の振り分けというか……」
「もしかして、ルインブラッド?」
「……口外するなって言われてる」
「ルインブラッドってことね……。そんな気はしてたけど。やっぱり教団の力が基準なのかな?」
「どうかな、そこまでは分からないけど……。あの、このことは誰にも……」
「分かってる。言わないよ。教えてくれてありがとう。じゃあ、班のところ戻らなきゃ」
「うん、また」




