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女王の束ねた混沌  作者: GGGolem
3/15 帰還
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 ルークと二人で外へ出ると、寮の前に一人の女子生徒が立っていた。背が高く緑色の髪が特徴的で、顔には大きく傷跡がある。


 彼女は僕たちに気付いて、それから僕の顔をじっと見つめてきた。


『アラン様、所有者です。能力は風。ファフニール教団の力……懐かしい感覚です』


 懐かしい……?


 女子生徒は口元に笑みを浮かべ、僕に声をかけてきた。


「私以外に居たなんてね。教団の所有者」


「貴女は……?」


「学校の生徒だけど?もう六年目で今年卒業するけどね。貴方って、今噂になってる人でしょ?教団の力を使って、他の生徒に試合で負けたって」


「あ……はい、彼に……」


「ああ、この人?噂じゃ皇国の技使うって聞いたけど……」


 彼女の視線がルークの方を向く。ルークはその女子生徒を睨むように見ている。


「まあな。それよりお前、俺と同類だろ。いや、それ以上か?」


「ん?まあ、そうなるかもね」


「どこから来た?何故学校に通えてる?」


「たいして通ってないけど?在籍してるだけ。会うのも初めてでしょ?」


「そうだな。で?どこから来たんだ?」


「私?んー……。貴方はどうして通えてるの?」


「俺は混血だ。ブラッドと皇国。だから問題ねえ。お前は?」


「もう夜遅いのに、これからどこに行くの?」


「質問に答えろよ。どこから来たんだ?」


「敬語って知らない?私の方が年上だと思うけど」


「あ?自分より弱い奴にも必要なのか?」


「ふふっ、凄い自信。先にどこ行くかだけ教えてよ」


「演習場だ」


「それなら私もついていっていい?そうすればだいたい分かるでしょ?」


「はっ、確かにな。行くぞ、アラン」


「うん……。でも、どうして彼女がブラッドじゃないって……」


「顔の傷だ。ブラッドなら跡なんて残らねえだろ」


「ああ、確かに……」


 ブラッド戦闘員には傷を再生する力があり、どのような傷も基本的には時間が経てば跡も残らない。体に傷跡があるということは、それだけでブラッドの血が流れていないことを意味する。




 三人で学校へ向かうと、校門前で教師のヴィオラと鉢合わせた。彼女は少し驚いた表情で口を開く。


「なんだお前ら。今から登校か?」


 僕は苦笑しながら頷く。


「はい。まだ学校は空いていますか?」


「空いてはいるが……そんなことより、お前の班はどうなってる?今日サキから脱退の報告を受けて、シルベの方は休学するらしい。現状正式に登録されているのはお前たち二人だけだ。把握できているのか?」


「シルベが休学……そうでしたか。サキの脱退も知りませんでした」


「何も知らないのか……?サキに関しては既に別の班への加入も決まっている。これから二人で……いや、ルークはもうすぐ卒業だったな。アランも別の班を見つけておいた方がいい。多くの生徒がお前を必要とする筈だ」


「そうですね……考えておきます」


 教師は一度ため息を吐き、それから今度は緑色の髪の女子生徒の方を見た。


「それで……アヤ、お前が登校とは珍しいな。ルークの班とは知り合いなのか?」


「いえ、全く。たまたま会っただけです」


「たまたまか……。いや、案外いいチームかもしれないな。少なくとも実力だけを見れば……」


「チーム?別にこの人たちと組む気なんてないですけど」


「だが興味はあるんだろ?」


「まあ、少しだけ」


「なら十分だ。明日はちゃんと朝から登校しろ。話したいことがある」


「依頼の話ですか?」


「ああ。浮遊大陸についての依頼が来ている。お前たち三人になら任せられるかもしれない」


「えっ……浮遊大陸……」


「ルインブラッドから回ってきたものだ。明言はされていないが、恐らくお前にあてられた依頼だろう」


「そうですか……。分かりました」


 アヤと呼ばれた彼女は、そう言い寮の方へ引き返していった。


「あれ、帰るのかな?」


 僕は戸惑いながらそう言うと、ルークは笑みを浮かべて頷く。


「だろうな。だが別にいいさ。もう用はねえ」


「え?どういうこと?」


「浮遊大陸だよ。あいつは四勢力のどこでもねえ、そこの出身なんだろ?」


 ルークの言葉にヴィオラが頷いた。


「そうだ。もちろん自称にはなるが。お前たち二人も、明日の朝私のところに来い。いいな?」


 ヴィオラもまたそう言い残してこの場を去った。


『浮遊大陸、やはりそうでしたか』


 何か知っているの?


『私の以前の主が浮遊大陸の出身でしたので』




 ルークと二人になり、僕たちはまた演習施設へ向かって歩き出す。


「浮遊大陸のこと、ルークは知ってるの?」


「いや、知らねえ。空を見てみろ、大陸なんて浮いてねえだろ」


「まあ、そうだよね。浮遊大陸なんてあれば、きっと誰でも知ってる筈……」


「あるとすれば本物の秘境だ。そこの出身なんてバカみてえな話だが……。ルインブラッドが動くってことは、それなりに信憑性のある話なんだろ。それに、このタイミングってことは……いや、さすがに憶測が過ぎるか」


「統括のこと?さっきのアヤって生徒は、多分以前から学校に在籍してる。なのに今になってルインブラッドから依頼が来るってことは、統括が変わったことがきっかけになった可能性が高い」


「そうなるよな。あの統括が依頼を出してるなら、単に冒険してこいって話でもねえ。何かある……まあ、明日内容を聞けば分かることか」

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