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僕は一人で演習施設の部屋に留まり、特に何をするわけでもなく数時間が経過した。その後寮に戻り一度シルベの部屋を訪ねようとしたが、彼女の部屋の前で思いとどまり、何もせず自分の部屋へ引き返した。
翌日、朝寮を出て学校へ向かったが、演習施設に班のメンバーは誰も居なかった。僕は一人で部屋を借りて一日を過ごし、日が暮れた頃に寮へ帰った。
僕はまたシルベの部屋を訪ね、今度こそ彼女の部屋のドアを叩いた。
「シルベ、居る?」
暫く待っても返事はなく自分の部屋へ引き返そうとすると、廊下にアイカの姿を見かけた。彼女も僕に気が付いて声をかけてくる。
「何してんの?ここ女子の階だけど」
「あ、その……シルベが、今日学校に来なかったから……」
「へえ……。ちょっと待って」
アイカはシルベの部屋のドアに手を当てると、何か感じたのか一度首をかしげてからドアを開けた。鍵はかかっていなかったようで、部屋の中にも生活感は無く片付けられている。
「ねえ、これ……留守って感じでもないけど」
僕が何も言えずにいると、アイカはドアを閉じてため息を吐く。
「何かあった?喧嘩でもしたの?」
「……いや、なんでもないよ。ただ……その……」
「何?大丈夫なの?」
「うん、大丈夫。ただ、何のために帰ってきたのか、分からなくなりそうだ」
僕はそう言ってその場を離れた。後ろからアイカに呼び止められたが、それを無視して自分の部屋へ戻った。
夜、布団に潜っていると、部屋にドアを叩く音が響いた。
「アラン、居るか?」
ルークの声だ。今日演習施設に来ていなかったことで最悪の場合も考えていたが、思い過ごしだったようだ。
僕がドアを開けると目の前に彼が立っていて、その表情はどこか明るく見えた。
「なんだその顔。なんかあったか?」
ルークの言葉に僕は無理やり笑って見せる。
「いや、なんでもないよ。今日はルークも学校に来てなかったから、心配してたんだ」
「ああ、色々と話があってな。一応お前にも伝えておくが、俺は今年で学校を卒業することになった。そのままトップの部隊に入ることも決まった」
「えっ……す、凄いね……。でも良かったよ。皇国へ行くんじゃないかと思ってたから」
「まあ、その方が生きやすいだろうな。勢力にこだわりもねえし、そうすべきだったかもしれねえ」
「じゃあ、どうして……」
「統括の頼みだからな。聞いてやった」
「統括とも話をしたの?あの、サングラスの?」
「ああ。お前も知ってんのか?」
「うん、カオス領まで迎えに来てくれたから」
「そうか。あいつは俺の実力をブラッドのものとして認めてくれるみたいだ。もし俺を認めない連中が居れば、そんな奴ら力で黙らせればいいと言われた。まあ、裏で何考えてんのかは知らねえけどな」
「裏でって……やっぱり、統括はルインブラッドの人?」
「ああ、所属はルインブラッドらしいぜ。これで勢力に革命が起きるかもな。もちろん悪い方向へ」
「どういう意味?」
「腐った部分が表に出てくるってことだ。気を付けろよ、アラン。お前、奴らに目をつけられてんだろ?」
「忠告ありがとう。そのために来てくれたの?」
「なわけねえだろ。今の話はついでだ。演習場までちょっと付き合え。一日でも休むと体が訛る」
「えっ、これから?もうかなり暗いけど……」
「問題ねえよ。学校はいつでも開いてる。ほら、さっさと準備しろ」
「ああ、うん……」




