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翌登校日、僕が学校へ行くため外へ出ると、寮を出てすぐのところにシルベが立っていた。
「おはよう、アラン君」
「おはよう。今日も演習施設に集合だよね」
「うん……。あの、一昨日はどこに行ってたの?」
「一昨日?D地区の方だけど……。もしかして、僕に何か用があった?」
「ちょっと話たかったの……。班のこと……というより、サキちゃんのことかな……。実は、この前ちょっと喧嘩しちゃって……」
「この前……あ、僕が途中で抜けた日?」
「うん、あの後サキちゃんと二人になって、それで……」
「そう、なんだ……。じゃあ、サキも入れて三人で話そう。きっとその方がいい」
僕が学校へ向けて歩き出そうとすると、シルベは僕の服の袖を掴んだ。
「待って。私は……アラン君が応援してくれたからここまでやってこられたの」
「ああ……うん……」
「これからだってそう。アラン君が応援してくれなきゃ、私は頑張れないと思う」
「応援するよ。これからだって、ずっと」
「サキちゃんよりも?」
「え……?」
「サキちゃんと手繋いでたよね……。サキちゃんのこと、好きなの……?」
「僕は……いや、やっぱり三人で話そう」
僕はシルベの手を振りほどいて学校へ向かって歩き出した。
「アラン君がサキちゃんを選ぶなら、私は学校を辞めるね……。街に帰って復興の手伝いをして、元に戻ったら両親の後を継ぐ……」
彼女の言葉に、僕は一度足を止めて振り返る。
「僕は君のことを尊敬してる。君の意思とその選択に、人としての強さを感じているから。だから……そんな言葉は、聞きたくなかった」
「ほら、やっぱり……。アラン君はいつも私のことを過大評価するから……。私は貴方の思っているような人間じゃないの……。貴方の期待には応えられないの……」
「ご、ごめん……そんなつもりじゃ……」
「私の方こそごめんね。何の意思も無くて、弱くて醜い人間で……本当に、ごめんね……」
シルベはそう言い寮の方へと引き返していった。僕は暫くその場に佇み、それから学校の方へと歩き出した。
演習施設へ向かうと、サキが一人で待っていた。
「アラン、おはよう。先に入っておく?」
「うん、そうしよう。シルベは……多分今日は来ないから」
「えっ……。あー、そっか……。分かった」
僕はサキと二人で受付を済ませ、個室へ入ると彼女がまた口を開いた。
「シルベと何か話した?」
「うん。さっき寮の前で少しね。僕は、ずっと彼女を傷つけていたのかもしれない」
「へえ、よく分かんないけど……喧嘩したの?」
「分からない。それに近いとは思うけど」
「そう……まあ、どうでもいいけど。話変わるけどさ、私たち付き合わない?」
「付き合うって……どういうこと?」
「恋人同士になるってこと。私アランのこと好きだし、自然とそんな風になっていく気もするし」
「自然と……?」
「そんな気しない?ルークはもう来ないだろうし、シルベは学校を卒業できるかも分からないし。だから、卒業後は二人で部隊に入ることになると思う。これからずっと二人でやっていくんだよ、私たち」
「ああ……そう、なのかな……」
「で、返事は?」
「僕は……もう一度シルベも入れて三人で……いや、ルークも入れて四人で今後のことをゆっくり話したいと思ってる」
「返事になってないんだけど。私とどうするか聞いてんの」
「返事になってると思ったけど。サキは、きっとルークとの方がうまくいくよ」
「は……?何それ……」
「また四人で仲良くやれたらいいなって、そう言っただけだよ。甘い考えなのは分かってるけど、それでも……このまま班がバラバラになるのは嫌だ」
「もう遅いって、それくらい分かるでしょ?これからは私とやっていくしかないの!」
「分かった、じゃあはっきり言うよ。僕はシルベのことが好きだ」
「……あっそ」
サキは一度僕の顔を睨んで、それからすぐに部屋を出ていった。




