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翌日、僕が学校の演習施設へ向かうと、そこにサキの姿があった。彼女は僕に気づいて声をかける。
「あ……アラン。先に入る?」
「いや、二人を待とう」
「二人って……。はぁ……」
サキは深くため息を吐くと、僕の腕を掴んだ。
「え、何?」
「先に入るよ。ほら、行こ」
サキに連れられて僕たちは二人で個室へ入り、そこで彼女はまた大きくため息を吐く。
「昨日はごめん」
「いや、そんな……。ルークとは、その……どうなりそう?」
「うーん……ちょっともう、無理かな……。私は一緒にやっていけない」
「そっか……」
「私さ、ずっとルークのこと好きだったんだよね。体術だけであれだけ強くて、模擬戦はいつも余裕そうで、あんな風になりたいってずっと思ってた。だから、好きだった分、それが裏返ったのかも」
「ああ、うん……」
「一昨日の試合、見てて苛ついた。本気でアランのことを応援したし、勝ってほしかった。あんたの能力さ……なんか、いいよね。ブラッドを体現してるみたいで、私たちの完成形にも思えた」
「でも、僕は勝てなかった。まだまだ強くならないといけない」
「あれ以上強くなれるの?」
「もちろん。僕はルークを超えたい。次は必ず勝つよ」
「へえ……じゃあ、応援していい?」
「応援って……。別に、いいけど……」
「良かった。なら、何か私にしてほしいこととかある?」
「……じゃあ、演習でも始めようか。僕だけじゃなくて、サキも一緒に強くなれたらそれが一番だから」
「演習って……。別になんでもいいんだけど?」
サキは僕に体を近づけて手を掴んできた。様子がおかしいようにも感じたが、彼女からしたら気持ちに空いた穴を埋めたいだけなのかもしれない。それくらい彼女にとってルークの存在は大きかったのだろう。
僕が何も言わずにいると、個室のドアが開いてシルベが中へ入ってきた。僕は慌ててサキの手を振り払ったが、シルベは眉をひそめる。
「えっと……遅れてごめんね。今、何してたの?」
シルベの言葉にサキは笑顔で応える。
「なんでもないよ。じゃあ、始めよっか」
「そう……。ねえ、サキちゃん、ルーク君とは仲直りできたの?」
「それはまだだけど。シルベは気にしなくていいよ」
「気になるよ。だって、サキちゃんにとってはすごく大事なことでしょ?」
「そんなに大事でもないかな。今はもう、ね……」
「どういうこと?ルーク君のこと、もうなんとも思ってないの?」
サキは一度ため息を吐くと、僕の側から離れてシルベの目の前に立った。
「シルベ……あんた、ほんと性格悪いね。遠回しに言いたいだけでしょ?私がころころ気持ちの変わる女だって」
「そ、そんなことないよ……。心配なだけで……」
「何その下手な嘘。気持ち悪いんだけど。言っておくけど、アランには私から直接全部伝えてるから」
「えっと、何のこと……?」
「だからっ……!ああ、もういいや。早く始めよう」
サキの言葉にシルベは複雑な表情で頷き、僕たちはその日の演習を始めた。




