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女王の束ねた混沌  作者: GGGolem
3/15 帰還
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 ルークと二人で闘技場の中央に立つと、観戦席からはまばらに声援が送られた。五年目の他の生徒達と、それからヴィオラの姿もある。彼女には止められると思っていたが、案外この試合に興味があるのかもしれない。


「来いよ、アラン」


 僕はルークの言葉に頷き、指を噛んで血を流した。血は増幅し剣を象りそれを両手で握りしめる。


 態勢を低く構えると、ルークは僕のいつもとは違う構えに警戒し様子を伺った。その間に僕は一歩大きく踏み込み、剣を素早く二度振り上げる。踏み込みに距離感を誤ったのか、ルークは慌てて後ろへ回避しようとしたが、間に合わず剣は彼の腕に深い傷を与える。


 血飛沫が舞い、僕はそれを浴びないように一旦後方へ下がった。ルークは血を攻撃には使わず、しかし傷の方は瞬時に塞がっている。


 ブラッド戦闘員は血の力によって怪我を再生することができる。特に血の流れる攻撃には強く、再生能力が高ければ深い傷も今のようにすぐに塞がる。もしかしたらルークは再生力を限界まで高めているのかもしれない。それと引き換えに他の操作が得意ではなく、だから出血を攻撃に転換できない。正しいかは分からないが、そう考えれば納得がいく。


 ルークは今度は自らこちらへ向かってきた。彼はスピードを乗せて蹴りを放ったが、僕は剣を面で構えてそれを受け止める。


「なっ……」


 ルークは驚いた様子で一度距離を取った。蹴りで剣が砕けると思ったのだろう。確かに彼の体術の威力は凄まじい。しかしそれを上回る強度が今の僕にはある。


「そうか、それが……」


 教団の力を開放し輝き放つ僕の瞳を見て、ルークは呟いた。


 僕は再び指を噛み血を流す。僅か一滴、地面に滴った血は急激に増幅し、闘技場の一面を埋め尽くしていった。血はルークから足場を奪い、彼の動きを鈍らせる。


 ルークは強い。最上級生を含めても学内で一二を争う実力で、これまで僕が一度も勝てなかった相手だ。それでも、今の僕が負けることはあり得ないだろう。


 ただでさえ教団の力は所有者に絶大な力をもたらす。カオスの蒼炎や白狼、ブラッドでは現統括や赤い髪の男、力を得た者たちは勢力を支える巨大な戦力として前線に立つ。その選ばれた者の中でも、僕の能力は特別強力だ。


 D地区で蒼炎と渡り合えた理由、そしてその事実がどれほどのことであるか、恐らくルークはあまり理解していない。今のこの状況、僕と対峙することがどれほど無謀であるか、これから彼は思い知ることになる。


 ルークの足元の血を固め動きを封じると、僕は彼に向かってゆっくりと歩いた。途中、地面の血で鎧を象り身に纏い、彼のすぐ目の前に立つ。


 気付くと観戦席の人は増え、声援は大きくなっていた。他の学年の生徒も試合について聞き駆けつけたのだろうが、やはりルークを応援する声の方が大きい。僕はその声援ごと切り裂くように素早く二度剣を振り上げた。ルークの体にX字型の斬撃を与え、先ほど以上の深い傷に勢いよく血飛沫が上がる。


 宣言通り。彼がこの学校で積み上げてきたもの、それが壊れる瞬間だ。

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