表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女王の束ねた混沌  作者: GGGolem
14/15 紫海
123/132

123/132 (3/5)

 アキトを含め三人での話し合いの後、メアは早速アカリの手紙に返事を書いた。書いた返事はすぐには送らず数日間待っていると、カオスブラッドからも同様に合同闘技大会についての知らせが届いた。メアはそれらにも返事を書いたが、海が次第に荒れ始めたのを見ると、彼女は書いた手紙を僕とアキトの二人に託した。


「波がおさまったら、君たちが直接大陸へ行ってこれを届けてきてほしい。もう鳥は飛ばさないことにする」


「それなら、メアさんも一緒に行きませんか?この波の強さだと、島にも影響が出てしまうかもしれません」


「私はやめておくよ。残り数人分の体がまだこの島に保管されているからね……いや、それさえも、もう必要のないものかもしれないが」


「そうですか……」


「研究者として役目を終えた時点で、生きていく理由も見当たらなくなった。私はどのみち、この島と共に死んでいくだけだ」




 翌日、荒れた波は嵐となって島を襲った。僕たちは三人で小屋にいたが、徐々に壁や天井がはがれ雨風に晒されていく。暫くは三人でどうにかこらえていたが、島は何度も大きく揺れ出し、ふと上を見上げると、巨大な瞳が僕たちを見下ろしていた。


 その瞳がこちらへ近づいてきているのを感じ、僕は教団の力で魔人化すると、メアとアキトの二人を抱えて走った。少しして振り返ると、先ほどまで居た小屋が魔物の巨体に押しつぶされ、凄まじい風圧に一瞬体を持っていかれる。


「アポピス……?いや、それにしては大きすぎる……」


 海から飛び出した巨体は蛇の頭のように見えたが、以前パールで戦ったアポピスと比べて何倍も大きい。


 僕がメアを地面におろすと、彼女はその魔物を眺めて口を開いた。


「アポピスの進化した個体だ。これはもう、人間が太刀打ちできるような相手じゃないね」


「とにかく逃げましょう。島を出て大陸を目指せば……」


「大陸ごと沈むかもしれない。私がここに残るから、君たち二人で逃げなさい」


「そんなわけには……」


「私はもう十分生きた。最後はこの島と共に散るよ。それに、もし大陸へ逃げられたとしても、これからの時代を生き延びられるかは別の話だ」


 メアが目を伏せて胸に手を当てると、そこに見知らぬ一人の少女が現れた。その少女は僕の方を見て手を差し出す。


 僕が戸惑っていると、メアは笑顔で言った。


「私からの最後の贈り物だ。第一期イコル教団、今のブラッド勢力に流れる血と同じ力だ」


「え……ですが……」


「四つ目、これで揃うね」


 僕が少女の手を取ると、彼女の力が僕に宿った。すぐに能力を開放すると懐かしい感覚が戻り、流血操作で皮膚を突き破り流れ出た血が、増幅を繰り返し足元に広がっていく。


 その他全ての教団の力を開放すると、手にした黒い剣には膨大な気力が込められていった。片目は黒色に輝き、第二期第三期ルドラ教団の力、もう片方の目は赤色に輝き、第一期第四期イコル教団の力。四教団同時開放、教団をストレージするメアの研究成果が、今ここに力となって体現された。


 僕は剣を上段に構え、これまでに得た全ての経験、力を集約させていく。足元の血は黒く淀み、細い線のように固まり上空へ伸び、剣から放たれた気力は周囲の空間に黒い歪を生じさせ、こちらもまた一直線に上空へ向かった。それら無数の線が一点で交わるとき、目標までの道が明確に示され、その道に沿うように構えた剣を前に突き出す。ロダの技を思い出し、全開の気力を乗せ、そこにある空間を捉えると、打ち砕かれた空間の歪は黒く濁りながらも綺麗に一列に並べられていった。


 ブラッド前統括から基礎を教わり、自分なりに何度も改良を加えてきた。この技も、これで最後の形態となる。混沌一列。その一撃は進化したアポピスの硬い甲殻を正面から貫いていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ