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数年前、島にとある知らせが届いた。メアは文を読んで僕に内容を伝える。
「浮遊大陸が落ちたみたい。ブラッドの新しい土地になるって」
「浮遊大陸……何ですかそれ」
「空に大陸が浮いていたんだよ。噂には聞いていたけど、本当にあったなんてね。手紙によれば、ブラッドの君が友人と協力して浮遊大陸を海に落としたとある」
「僕が……?なんだか凄いことをしていますね。でも、どうしてそんなこと……」
「かつて栄えた異形の者が、そこでは生存していたみたいだ。ブラッド上層からの指令で、血を取ってこいとでも言われたのだろう」
「そうですか……。また異形が栄える原因にならないといいですが……」
「もしそうなったとしても、悪いことばかりじゃないと思うよ。長い目で見れば、異形の存在が人類の寿命を延ばすことに繋がるかもしれないし……それに、異形を滅ぼす英雄が、またどこかに現れるかもしれない」
「ああ……異形は確か、かつてカオスの英雄によって滅ぼされたんでしたね。魔物も同じように、滅ぼすことができればいいのですが……」
「それは不可能だよ。魔物を滅ぼすというのは、この海を消すのと同義だ」
「海を……?」
「それを知りながら、まだ諦めていない人間も居るみたいだけど。その意思が途絶えない限り、私は応援したいと思うよ」
「もしかして、カオスの人ですか?最近はカオスから手紙が来ると返事を書いてますよね」
「うん。いずれこの島にも招待してみたいと思ってる。そしたら私の積み上げてきたものを全て差し出したっていい」
「そこまでしますか……」
「魔物の進化の過程が判明した時点から、私の研究はとうに破綻しているからね。何かの役に立つのなら、次の意思に託したい」
「そうですか……。僕が失敗だったみたいに言われるのは、少し残念ですけど……」
「ふふふ……私は失敗で良かったと思うけど。人類の存亡が君の手にかかるとなったら、それこそ怖くて見てられない」
「ああ、それもそうですね……」
浮遊大陸の知らせを皮切りに、メアの元には頻繁に手紙が届くようになった。四勢力間で話題になった出来事もそうだが、新たに発見された高ランクの魔物情報が増大したためだ。パールでついにアポピスの討伐が果たされたことが知らされると、それから少しして僕は三人分の記憶を取り戻し、そして更に数日後、島には合同闘技大会の結果と共に一つの知らせが届いた。
メアが手紙を読み終えると、彼女はそれを僕に手渡す。
「はい、アカリから。君にとっても重要な知らせだ」
「ありがとうございます」
僕は手紙を受け取り、アカリの文章に目を通していく。
合同闘技大会では優勝者三名が出揃ったようで、先鋒戦では皇国騎士第五席、中堅戦ではパールの王サカズキ、そして大将戦ではカオスの女王と記載されていた。アーティアは残念ながら決勝で敗北してしまったようだが、それ以上にルークが負けていることに驚いた。
しかし内容をよく読んでみると、大将戦の決勝は行われず、女王は不戦勝だったようだ。ルークは僕を殺めたことで失格となり、パールに幽閉されたと書かれている。それに続く文章は、全て僕の死を嘆いたもので、読んでいて胸が痛くなった。
「大陸へ向かう理由ができました」
「そうだね……。アキトを呼んできてくれる?一度三人で話をしようか」




