118/132 (4/6)
翌日、闘技大会二日目。試合前に僕は闘技場のロビーでアイカの姿を見かけた。その日の対戦表を見つめる彼女に、僕は声をかける。
「アイカ、久しぶり。今日の一試合目だね」
「あ、アラン!?ひ、久しぶり……」
「調子はどう?ルインブラッドでは凄い活躍だって聞いたよ」
「そっちこそ、なんで生きてんのよ……。死んだって聞いて、受け入れようと頑張ってたのにさ……」
「心配かけてごめん。その後のブラッドはどう?統括が変わって、ルインブラッドにも影響が出てるのかな?」
「うーん、どうだろう。異形の血の研究はストップしたみたいだけど、統括の影響なのかは微妙」
「ん?どういうこと?」
「シルベっていう研究員が出産と育児で離脱してるんだよね。異形の研究をしてたメインの研究員なんだけど、確かあんたの同級生じゃなかった?」
「そうだけど……シルベが誰かと結婚したってこと?」
「さあ、知らない。あんたがブラッドに居た頃から妊娠してたみたいだけど?あんたの子供だったりしないの?」
「えっ、いや、それは無いよ。僕も全然知らなかったし……」
「そう、ならいいけど。とにかく、異形の研究が止まってるのは統括が変わったからっていうより、彼女が抜けたことの方が直接の原因って感じ」
「な、なるほど……」
「何?動揺してる?あの人のこと好きだったもんね」
「昔の話だよ。彼女が幸せならそれ以上のことはない」
「強がりどうも。はぁ、なんかちょっとスッキリしたかも。試合前に話せて良かった。そろそろ準備しないと駄目かな……」
「頑張って。応援してるから」
「ありがと。勝ってくるよ」
アイカはそう言いブラッドの控室へと向かった。
彼女の相手は蒼炎。彼女自身、過去にD地区で対面したことのある相手だ。ブラッドにとっては相性も最悪。大変な試合になるだろう。
パールの控室へ行くと、サカズキとアーティアの姿があった。サカズキは僕を見て口を開く。
「おはよう、アラン。もうすぐ今日の初戦が始まるよ。ここで見ていく?」
「はい。自分の出番までここに居ようと思います」
「そうだね、それがいい」
僕はそこにあった椅子に座り、設置されたスクリーンに目を向ける。
間もなくアイカと蒼炎の二人が入場したが、歓声はあまり無い。今日は観客自体があまり居ないようだ。大将戦の観戦は危険が伴うことがアナウンスされており、何かあった際も自己責任となっているためそれが影響しているのだろう。今日の二試合目からは更に観客も減る筈だ。
試合が開始されると両者共に教団の力を開放した。赤狼の能力でスピードを得たアイカは、目にもとまらぬ速さで攻撃を繰り出し、蒼炎は炎の防壁を作ることで彼女の接近を拒んだ。アイカは血の力で炎を受け止めることで猛攻を続けたが、しかし蒼炎には一歩及ばなかった。蒼炎の放つ炎は徐々にフィールドを埋め尽くし、アイカの呼吸を妨げることでその動きを鈍らせると、宙に撒かれた粉塵が爆破しアイカの小さな体を吹き飛ばした。立ち上がろうとする彼女に蒼炎が追撃の仕草を見せると、すぐに勝者の判定が下された。




